この記事では、葬儀後に必要な手続きを一覧でわかりやすく解説し、期限や窓口、効率的に進めるためのポイントをご紹介します。市役所、年金事務所、銀行など、各手続き場所での注意点や、手続きを代行する専門家の選び方もご紹介します。故人のご冥福を祈りつつ、スムーズに手続きを進めるためにお役立てください。

葬儀後の重要な公的手続き一覧
手続き | 期限 | 提出先 | 必要書類 | 解説 |
---|---|---|---|---|
年金受給停止の手続き | 厚生年金: 10日以内 / 国民年金: 14日以内 | 年金事務所、市区町村の国民年金課 | 年金証書、戸籍抄本もしくは死亡診断書の写しなど、受給権者死亡届(報告書) | 未支給の年金がある場合は早めの手続きが必要 |
健康保険の資格喪失届 | 健康保険:5日以内 国民健康保険・後期高齢者医療保険:14日以内 | 会社員は勤務先 国保は市区町村の保険課 | 健康保険証、死亡診断書の写し | 故人が加入していた健康保険の資格喪失手続き |
世帯主変更の届出 | 14日以内 | 市区町村の住民課 | 届出人の本人確認書 | 故人が世帯主の場合、世帯主の変更を届け出る必要 |
遺言書の検認手続き | 発見次第、速やかに | 故人の住所地の家庭裁判所 | 申立書、戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続のパターンに応じた書類 | 自筆証書遺言は検認が必要、開封前に家庭裁判所へ提出 |
銀行口座等の凍結 | なるべく早く | 各金融機関 | 各金融機関へ電話連絡(必要書類の有無については各金融機関に確認) | 金融機関に死亡の事実を伝え、故人の口座を凍結、相続手続きが完了するまでは、口座からの入出金は原則不可 |
公共料金等の名義変更・解約 | なるべく早く | 各事業者へ電話、インターネットで手続き | 特に必要書類なしで解約・名義変更の手続きが可能 | 電気、ガス、水道、電話、インターネットなどの公共料金の名義変更または解約手続き |
携帯電話の解約 | なるべく早く | 各携帯電話会社 | 死亡診断書のコピーなど亡くなったことが確認できるもの、届出人の本人確認書類 | 故人の携帯電話の解約手続き |
クレジットカードの解約 | なるべく早く | 各クレジットカード会社へ電話 | 特に必要書類なしで電話で手続きが可能 | 故人のクレジットカードの解約手続き |
運転免許証の返納 | 特になし | 警察署 | 運転免許証、死亡診断書の写しなど、届出人の本人確認書類 | 故人の運転免許証を警察署に返納 |
相続手続き | 相続開始を知ってから3ヶ月以内(相続税の申告期限)、10年以内(遺産分割協議の期限) | 家庭裁判所(調停の場合)、税務署(相続税申告の場合) | 戸籍謄本、遺産分割協議書、相続税申告書など | 相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行う |
相続放棄・限定承認の申述 | 3ヶ月以内 | 故人の住所地の家庭裁判所 | 申述書、戸籍謄本、故人の戸籍謄本など | 相続財産を放棄または限定承認する場合は手続き要 |
所得税の準確定申告 | 4ヶ月以内 | 故人の住所地の税務署 | 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 | 自営業者や高額所得者は、準確定申告を行う |
相続税の申告・納税 | 10ヶ月以内 | 故人の住所地の税務署 | 申告書、財産目録、戸籍謄本、遺産分割協議書等 | 相続財産が基礎控除額を超える場合に申告・納税を行う |
埋葬料・葬祭費の申請 | 2年以内 | 市区町村役場(国民健康保険)、勤務先(社会保険) | 埋葬料(葬祭費)支給申請書、死亡診断書、戸籍謄本、請求者の印鑑、振込口座の情報など | 国民健康保険や社会保険に加入していた場合、埋葬料(葬祭費)が支給される |
高額療養費の申請 | 診療月の翌月から2年以内 | 健康保険組合、市区町村の国民健康保険課 | 高額療養費支給申請書、医療費の明細書、相続人の戸籍謄本、申請者、相続人の確認書類 | 高額な医療費を支払っていた場合、払戻しの可能性あり |
生命保険金の請求 | 通常3年以内 | 契約していた保険会社 | 保険証券、死亡診断書の写し、受取人の戸籍謄本、印鑑証明書 | 期限が保険会社ごとに異なるため、早めの確認が必要 |
遺族年金の請求 | 5年以内 | 年金事務所 | 年金手帳、戸籍謄本、世帯全員分の住民票の写し、故人の住民票の除票、請求者の収入を確認できる書類など | 配偶者が亡くなった場合、「遺族年金」を受給できるケースがある |
1.年金受給停止の手続き(10日または14日以内)
年金を受けている方が亡くなると、年金を受ける権利がなくなるため、早期に年金事務所に連絡をして年金の受給停止の手続きをしましょう。
【期限】
・厚生年金の場合:死亡後10日以内
・国民年金の場合:死亡後14日以内
【提出先】
年金事務所、市区町村の国民年金課
【必要書類】
・年金証書
・死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書のコピーや住民票除票など)
・受給権者死亡届(報告書)
未支給年金請求の届出をする場合は、亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)や亡くなった方の住民票の除票および請求する方の世帯全員の住民票の写し等が必要になります。
2.健康保険の資格喪失届(5日または14日以内)
亡くなった人の健康保険証を返却する必要があります。
【期限】
・健康保険の場合:死亡後5日以内
・国民健康保険や後期高齢者医療制度場合:死亡後14日以内
【提出先】
・健康保険の場合:年金事務所
・国民健康保険や後期高齢者医療制度の場合:市区町村役場
【必要書類】
健康保険証、死亡診断書の写し
マイナンバーカードの健康保険証の登録は亡くなった方の死亡届が自治体で受理されると、マイナンバーカードが自動的に失効となりますので、マイナンバーカードの健康保険証も自動的に解除されます。
3.世帯主変更の届出(14日以内)

故人が世帯主で、同居人が新たに世帯主になる場合は市区町村役場で住民票の「世帯主変更届」を提出する必要があります。
【期限】
死亡後14日以内。遅れると5万円以下の罰金
【提出先】
市区町村役場
【必要書類】
届出される方の、マイナンバーカード(個人番号カード)、運転免許証、パスポート(日本国発行のもの)、住民基本台帳カード、在留カードなど官公署発行の写真入り証書
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4.遺言書の検認手続き(すみやかに)
遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。目的は、遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
【期限】
発見次第、速やかに
【提出先】
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
【必要書類】
・申立書
・遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続のパターンに応じた書類(裁判所のHP参照)
公正証書による遺言のほか,法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は,検認の必要はありません。
5.銀行口座等の凍結(すみやかに)
口座名義人が亡くなった場合は、銀行をはじめとする金融機関に連絡する必要があり、連絡後は原則として口座からの預金の払い戻しなどができなくなります。
銀行は、新聞の訃報欄や葬儀の情報から口座名義人の死亡を確認した場合、ご遺族に連絡を取り、口座を凍結することがあります。
【期限】
なるべく早く
【提出先】
各金融機関
【必要書類】
各金融機関へ電話連絡(必要書類の有無については各金融機関に確認)
銀行に連絡せず預金を引き出してしまうと相続を単純承認したとみなされ、相続放棄をしたいにもかかわらず、相続放棄ができないという状況なることがあります。
6.公共料金等の名義変更・解約(すみやかに)
電気、ガス、水道、電話、インターネットなどの公共料金の名義変更または解約手続きを行います。
【期限】
なるべく早く
【提出先】
各事業者へ電話もしくはインターネットで手続き
【必要書類】
特に必要書類なしで解約・名義変更の手続きが可能ですが、名義変更の際はクレジットカードもしくは引き落とし口座情報
故人と別居していた場合、遺品整理の際に電気・ガス・水道などを停止するタイミングには注意が必要です。早まって停止してしまうと、整理作業に支障が出る可能性があります。
7.携帯電話の解約(すみやかに)
故人の携帯電話の解約手続きを行います。
【期限】
なるべく早く
【提出先】
各事業者
【必要書類】
死亡診断書のコピーなど亡くなったことが確認できるもの、届出人の本人確認書類
docomo、au、SoftBank、各社とも来店する必要があります。
8.クレジットカードの解約(すみやかに)
故人のクレジットカードの解約手続きを行います。
【期限】
なるべく早く
【提出先】
各クレジットカード会社へ電話
【必要書類】
特に必要書類なしで電話で手続きが可能ですが、カード会社の指示に従って必要書類を求められる場合がある。
9.運転免許証の返納(すみやかに)
故人の運転免許証を警察署に返納します。
【期限】
特になし
【提出先】
警察署
【必要書類】
・亡くなられた方の運転免許証
・亡くなられたことを証明する書類(死亡診断書の写し、住民票の除票などの書類)
・申請に来られる方の本人確認書類
亡くなられた方の運転免許証については、ご家族の方に返納していただく義務はありません。
10.相続手続き(3ヶ月以内)
故人の遺産を相続人へ分割する手続きです。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、誰が何を相続するかを決定します。
【期限】
・相続開始を知ってから3ヶ月以内(相続税の申告期限)
・法律上の制限なし(遺産分割協議の期限)
【提出先】
・税務署(相続税申告の場合)
・家庭裁判所(調停の場合)
【必要書類】
戸籍謄本、遺産分割協議書、相続税申告書など
11.相続放棄・限定承認の申述(3ヶ月以内)
相続財産の調査結果をもとに、相続の方法について相続放棄・限定承認のどれにするかを決めます。
【期限】
相続開始を知ってから3ヶ月以内
【提出先】
故人の住所地を管轄する家庭裁判所
【必要書類】
(相続放棄の場合)
・相続放棄の申述書
・故人の住民票除票または戸籍の附票
・相続放棄をする相続人の戸籍謄本
・故人の出生時から死亡時までのすべて戸籍謄本など
(限定承認の場合)
・限定承認の申述書
・故人の住民票除票または戸籍の附票
・故人の出生時から死亡時までのすべて戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本など
限定承認とは、相続において、プラスの財産もマイナスの財産(借金など)もすべて相続するものの、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合、相続したプラスの財産を限度としてマイナスの財産を弁済するという相続方法です。
12.所得税の準確定申告(4ヶ月以内)
亡くなった人が事業者だった場合など確定申告をすべきであった場合、相続人が代わって確定申告をする必要があります。
専門家への相談
手続きが複雑で手に負えない場合は、弁護士、税理士、司法書士などの専門家に相談しましょう。適切なアドバイスやサポートを受けることで、スムーズに手続きを進めることができます。
- 弁護士は、相続に関する紛争解決や遺言書の作成などをサポートしてくれます。
- 税理士は、相続税の申告や税務に関する相談に応じてくれます。
- 司法書士は、不動産の名義変更や相続登記などの手続きを代行してくれます。
専門家を選ぶ際には、実績や得意分野、料金などを比較検討し、信頼できる専門家を選びましょう。初回の相談は無料で行っている専門家も多いので、気軽に相談してみることをおすすめします。
やることリストの作成と管理
手続き内容、期限、窓口などをまとめた「やることリスト」を作成し、進捗状況を管理しましょう。書類の整理も忘れずに行いましょう。
やることリストを作成することで、手続きの抜け漏れを防ぎ、スムーズに進めることができます。手続き内容ごとに、必要な書類や期限、窓口などを明確に記載しましょう。
進捗状況を定期的に確認し、遅れている手続きがないかを確認しましょう。必要な書類をまとめて保管し、すぐに取り出せるように整理しておくようにしましょう。
まとめ
葬儀後には、多岐にわたる手続きが必要です。特に、故人の年金受給停止や介護保険資格喪失届は、死亡日から14日以内という短い期限があるので、速やかに対応することが求められます。さらに、相続手続きや銀行口座の凍結、公共料金の名義変更なども行わなければなりません。
これらの手続きは、事前に期限と必要書類を確認し、漏れがないように注意しましょう。手続きが複雑な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、安心して進めるのが賢明です。
また、手続きの量を管理しやすくするためには、やることリストを作成し、進捗状況を把握することが役立ちます。遺族間でリストを共有し、負担を分担することで、効率的に手続きを終えることができます。優先順位をつけ、計画的に行動することで、手続きをスムーズに終わらるようにしましょう。
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