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浄土真宗は戒名ではなく法名|費用相場・院号との違い・準備の流れをわかりやすく解説

浄土真宗は戒名ではなく法名|費用相場・院号との違い・準備の流れをわかりやすく解説
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浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」を授かることをご存じでしょうか。初めて葬儀を行うと、費用の目安や院号との違い、準備の流れに戸惑う方も少なくありません。

本記事では、法名料の相場や決め方をわかりやすく整理し、安心して準備できるよう解説します。

浄土真宗の法名(戒名)の値段相場はどのくらいか

葬儀の準備を進める中で、多くの人が気になるのが「法名(戒名)の費用はいくらか」という点です。浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」と呼ばれますが、意味合いとしては近く、いずれも仏弟子としての名前を表しています。

初めて葬儀を行う方にとって、法名料の相場を知っておくことは予算計画を立てる上でも大切です。ここでは一般的な金額目安や院号の有無による違い、他宗派との比較を解説します。

法名料の一般的な金額目安

浄土真宗における法名料は、地域や寺院によって差はあるものの、おおむね10万円〜50万円程度が目安とされています。特に都市部の大きな寺院や格式の高い本山に依頼する場合は高めの傾向があり、地方の菩提寺では比較的抑えられることもあります。

また、法名料は「お布施」の一部として扱われる場合もあります。そのため「法名料」という明確な項目がないことも多く、僧侶への謝礼や戒名授与に伴う儀礼全体の中で示されることが一般的です。葬儀社を通す場合は、菩提寺と直接交渉して金額を確認するようにしましょう。

院号の有無による費用差

法名には「院号」が付く場合と付かない場合があります。院号とは、法名の冒頭につけられる尊称のようなもので、故人の社会的立場や菩提寺との関係性によって授与されることがあります。

費用面では、院号なしの法名は10万円〜20万円程度院号付きは30万円〜50万円程度とされるケースが多いです。たとえば長年にわたり寺院に貢献してきた檀家の方や、地域社会で功績を残した方に院号が授与される例が見られます。

ただし、院号を付けるかどうかは「お金を払えば自由に選べる」というものではありません。菩提寺の判断や宗派の慣習が大きく影響します。そのため、希望がある場合は早めに相談することが大切です。

他宗派の戒名との料金比較

他宗派と比べると、浄土真宗の法名料は比較的わかりやすいといわれています。たとえば曹洞宗や臨済宗などの禅宗では「居士」「大姉」といった位号や文字数の違いによって費用が大きく変わり、相場は20万円〜100万円以上に及ぶこともあります。

一方で、浄土真宗では位号のランク付けが少なく、法名の長さによって料金が大きく変わることも基本的にはありません。このため、「院号があるかどうか」が費用差の主なポイントとなります。

実際の利用者の声を見ても、「他宗派に比べてわかりやすい」「予算が組みやすかった」という意見が多く聞かれます。もちろん寺院ごとに違いはありますが、全体的にシンプルな仕組みである点は、初めて葬儀を経験する方にとって安心材料になるでしょう。

浄土真宗で「戒名」ではなく「法名」と呼ぶ理由

浄土真宗では、他宗派で一般的に使われる「戒名」という呼び方はあまり用いられず、代わりに「法名(ほうみょう)」と呼ばれます。

これは単なる言葉の違いではなく、宗派の教えや考え方に基づいた大切な理由があります。ここでは戒名と法名の違い、阿弥陀如来との関わり、そして法名に含まれる院号や位号の特徴について解説します。

戒名と法名の意味の違い

「戒名」とは、本来、仏教において受戒(仏弟子としての戒律を授かること)を受けた際に授かる名前を意味します。臨済宗や曹洞宗など多くの宗派では、この戒を受けることで仏弟子となり、その証として戒名を授かります。

一方、浄土真宗は「南無阿弥陀仏を称え、阿弥陀如来に救われる」という他力本願の教えを重視します。そのため「戒律を守ることによって救われる」という発想は強くなく、戒律そのものよりも信心を重視するのが特徴です。

この考え方から、浄土真宗では「戒」という言葉を用いず、阿弥陀如来の教えをいただいて名を授かるという意味で「法名」と呼ばれるのです。

阿弥陀如来との結びつきと特徴

法名は「阿弥陀如来の弟子としての名」という位置づけを持ちます。つまり、法名を授かることで「私は阿弥陀如来の教えに導かれる仏弟子である」という証になります。

浄土真宗では「南無阿弥陀仏」という念仏を称えることが信仰の中心であり、法名はその信仰に基づいた象徴といえるでしょう。

したがって、法名を持つことは、亡くなった後に極楽浄土に往生するための必須条件ではなく、あくまで信仰とご縁を示すものです。この点は、戒律や修行を前提とした戒名との大きな違いです。

院号・位号など法名に含まれる要素

浄土真宗の法名は、通常「釋(しゃく)」の字を冠し、その後に二文字の名をいただく形が基本です。たとえば「釋○○」という形で表記されます。

この「釋」はお釈迦様の弟子であることを示しており、浄土真宗においては全員が平等に「釋」をいただくのが特徴です。

また、法名の前に「院号」がつくことがあります。これは故人の社会的な功績や菩提寺との関わりの深さを示す尊称であり、つけられるかどうかはお寺との相談によります。さらに末尾に「位号」と呼ばれる言葉が付く場合もありますが、他宗派ほど重視されない傾向があります。

このように、浄土真宗では「釋」を中心としたシンプルな形式を基本としつつ、院号や位号が加わることで個別性が表れるのです。

法名の付け方と決め方の流れ

浄土真宗で法名を授かる際には、単に「お金を払って名前を決めてもらう」というものではなく、寺院との相談や宗派の慣習に基づいた流れがあります。

特に初めての葬儀で法名を決める場合は、どのような手順を踏むのかを理解しておくと安心です。ここでは、菩提寺との相談から決定までの流れ、生前に授かる場合と逝去後の場合の違いについて整理します。

菩提寺への相談と準備する情報

法名は、故人とつながりのある菩提寺(檀那寺)に依頼するのが基本です。菩提寺がある場合、まず住職に連絡を取り、法名の相談を行います。その際、以下の情報を用意しておくとスムーズです。

  • 故人の氏名・年齢・生年月日
  • 信仰や寺院との関わりの有無
  • 職業や社会的な活動歴
  • 生前の人柄や家族の希望

これらは必ずしも全て必要というわけではありませんが、住職が故人にふさわしい法名を考える際の参考になります。また、希望がある場合は「生前の趣味を反映したい」「できるだけ簡素にしたい」といった要望を伝えても問題ありません。

候補提示から決定までのステップ

相談後、住職がいくつかの法名の候補を提示してくださる場合があります。最終的な決定は寺院側が行いますが、家族の希望を聞いて反映してもらえるケースもあります。

法名が決まるまでの流れは以下の通りです。

  • 菩提寺に相談し、法名の依頼をする
  • 住職が候補や方向性を考える
  • 家族の希望や要望を確認
  • 最終的な法名を決定し、法要や葬儀で授与される

注意点として、法名は「自由に選べる名前」ではなく、宗派の規範や伝統に沿って付けられるものです。そのため、強い希望がある場合は早めに相談し、住職とすり合わせておくと安心です。

生前に授かる場合と逝去後の違い

法名は必ずしも逝去後に授かるものではありません。近年では「寿法名(じゅほうみょう)」といって、生前に法名をいただく人も増えています。

生前に授かるメリットとしては、

  • 本人の意思を反映できる
  • 家族に金銭面や手続きの負担を残さない
  • 生前から阿弥陀如来とのご縁を自覚できる

一方、逝去後に授かる場合は、葬儀の流れの中で慌ただしく決めることになります。多くは住職が判断してくださいますが、家族の希望を取り入れにくい場合もあるため、事前に相談できると安心です。

浄土真宗の法名料一覧と具体例

法名料は「いくら必要か」がはっきりしづらい部分の一つです。実際には菩提寺や地域によって差がありますが、ある程度の相場感や具体例を知っておくと、予算を立てる際に安心できます。ここでは、院号の有無による目安、地域や寺院ごとの違いを一覧形式で整理します。

院号なしの法名料の相場レンジ

院号が付かない法名は、もっともシンプルな形式です。浄土真宗では全員が「釋」の字をいただき、その後に二文字の法名が与えられるのが基本です。この場合、相場は10万円〜20万円程度とされています。

実際の例では、地方の菩提寺で檀家として日頃から関係がある場合、10万円程度で済むこともあります。一方、檀家ではなく一時的な依頼で法名をいただく場合は、20万円前後になるケースが多いです。

院号付きの法名料の相場レンジ

院号が付与される場合は、法名の格が上がるとされ、費用も高めになります。相場は30万円〜50万円程度といわれています。

たとえば地域のために長年貢献した人物や、お寺に深く尽くしてきた檀家に院号が与えられるケースがあります。実際に「釋○○院殿△△居士」といった形で院号が付くと、より格式が高い印象になります。

ただし、院号はお金を払えば必ず付けられるというものではなく、住職や宗派の方針に従う必要があります。したがって、希望がある場合は早めに相談し、判断を仰ぐのが安心です。

地域や寺院による金額の差

法名料は全国一律ではなく、地域性や寺院の方針によって大きく異なります。

  • 都市部の大きな寺院:相場が高め(院号付きで50万円以上になる場合も)
  • 地方の小規模な菩提寺:相場が抑えられやすい(院号なしで10万円程度)
  • 檀家と非檀家の違い:檀家であれば負担が軽くなるケースが多い

実例として、東京都内の本山に依頼した場合は院号付きで50万円を超えることがある一方、地方の菩提寺では同じ条件でも20万円程度に収まることもあります。

このように「どこに依頼するか」「菩提寺との関係性があるか」によって、金額は大きく変動します。そのため、実際の金額は必ず菩提寺に確認することが重要です。インターネットで見られる相場はあくまで参考程度に考えておきましょう。

法名料を準備する際の工夫と注意点

法名料を準備する際の工夫と注意点

法名料は数十万円単位になることもあるため、突然の出費に戸惑うご遺族も少なくありません。特に初めて葬儀を執り行う方にとっては、「どのように準備しておくべきか」「支払いの際に気をつけることは何か」が不安要素になるでしょう。ここでは、菩提寺との関係性をふまえた準備の仕方や、お布施・寄付との違い、そして法名のみを依頼する際の注意点をまとめます。

菩提寺との関係性と相談の仕方

もっとも重要なのは、日頃から菩提寺との関係を築いておくことです。檀家として法要や年中行事に参加している場合、法名料は比較的わかりやすく提示され、柔軟に対応していただけることが多いです。

反対に、普段から菩提寺とご縁が薄い場合や、檀家でない場合は、法名料が高めに設定される傾向があります。そのため、いざという時に慌てないよう、事前に住職へ相談し、目安を確認しておくと安心です。

お布施や寄付との違いを理解する

法名料は「お布施」の一部として支払われることが多いですが、混同しやすいのが「寄付」との違いです。

  • お布施:僧侶への感謝や儀礼に対する謝礼
  • 法名料:法名を授かることに対する謝礼(お布施に含まれることもある)
  • 寄付:寺院の維持や修繕などのために任意で支払うもの

実際には明確に区別されず、「お布施の中に法名料が含まれる」というケースが多いです。しかし、寺院によっては法名料を独立した項目としてお願いされることもありますので、金額の内訳を確認しておくと安心です。

法名だけ依頼する場合の注意点

最近では、葬儀を簡素化して「法名だけをお願いしたい」という相談も増えています。しかし、この場合にはいくつか注意が必要です。

  • 菩提寺がない場合、依頼先の寺院によっては対応できないことがある
  • 「檀家になること」を条件にされるケースがある
  • 法名料が割高になる傾向がある(目安:20万〜30万円以上)

また、法名だけをいただく場合は、今後の法事や供養をどうするのかも考えておく必要があります。長期的に見れば、菩提寺とのご縁を持っておく方が安心できるケースも少なくありません。

法名に関するよくある質問

初めて葬儀を行う方にとって、「法名(戒名)」についての疑問は尽きません。特に費用や意味合い、家族の希望をどこまで反映できるのかなど、実際に直面すると迷う点が多いものです。

ここでは、浄土真宗でよく寄せられる質問を整理し、代表的な3つのテーマに答えていきます。

法名のランクで成仏に差はあるのか

もっとも多い質問が、「高い法名をいただいた方が成仏しやすいのか」というものです。結論から言えば、法名のランクや院号の有無で成仏に差はありません

浄土真宗では、念仏を称える信心によって阿弥陀如来に救われ、すべての人が等しく極楽浄土に往生できるとされています。したがって、法名はあくまで「仏弟子としての証」であり、「成仏の条件」ではないのです。

費用の高低は、寺院との関係や院号の有無に関わるものであって、亡くなった方の往生や救いに直接影響することはありません。この点を理解しておくと、過度な不安や見栄にとらわれずに済むでしょう。

生前に法名を授かるメリット

近年、「寿法名(じゅほうみょう)」といって、生前に法名をいただく人が増えています。これは亡くなる前に阿弥陀如来の弟子としての名を授かることで、生きている間から信仰心をより深める機会となります。

生前に授かる主なメリットは以下の通りです。

  • 本人の希望を反映できる
  • 家族が葬儀の場で慌ただしく決める負担を避けられる
  • 信仰生活の中で自覚を持って過ごせる

実際に「法名を生前に授かったことで安心できた」という声も多く聞かれます。葬儀後の費用負担を軽減できる点も含め、準備の一つとして検討する価値があります。

希望通りの法名をつけてもらえるか

「自分や家族の希望通りに法名を決めてもらえるのか」という質問もよくあります。基本的に法名は住職が宗派の規範に基づいて授与するため、自由に好きな名前を選ぶことはできません

ただし、家族の希望や故人の人柄を反映させてもらえる場合もあります。たとえば、生前の趣味や性格にちなんだ文字を取り入れてもらえることもあります。希望がある場合は、葬儀直前ではなく早めに住職に相談すると反映されやすいでしょう。

まとめ:浄土真宗の法名は意味と費用を理解して準備を

浄土真宗の法名は、単なる葬儀の形式的な要素ではなく、阿弥陀如来の弟子としての証であり、故人と仏のご縁を示す大切なものです。

他宗派で用いられる「戒名」とは異なり、戒律ではなく信心に基づいて授けられる点が特徴です。

費用面では、法名料の目安が10万円〜50万円程度であり、院号の有無や菩提寺との関係性によって差が出ることがわかりました。

特に都市部の寺院や本山では高めになる傾向がある一方、地方の菩提寺では抑えられることもあります。

準備の際には、

  • 日頃から菩提寺と良好な関係を築いておく
  • 費用の目安や内訳を事前に確認する
  • 希望がある場合は早めに相談する

といった工夫が有効です。

また、法名のランクや金額が往生の可否を左右するものではないことも重要なポイントです。浄土真宗の教えにおいては、誰もが平等に阿弥陀如来に救われるとされており、費用の多寡で差が生まれることはありません。

初めて葬儀を行う方にとっては不安も多いと思いますが、法名の意味や相場を正しく理解することで、必要以上に悩むことなく準備を進められるはずです。大切なのは「形式」よりも「気持ち」であり、故人を思い、心を込めて送り出すことが一番の供養となるでしょう。