終活は「死の準備」ではなく「安心してこれからを生きるための活動」です。特におひとりさまの場合、書籍からの学びと自治体の支援を併用することで、無理なく実践できます。
本記事では、おすすめ本やガイドブックの活用法をわかりやすくまとめました。
おひとりさまの終活におすすめの本はこれ!まず手に取りたい一冊
最初の一冊としては、入門から実務までをバランスよくカバーし、チェックリストで手を動かしやすい『この1冊で安心!おひとりさまの終活まるわかり読本(税理士法人レガシィ/PHP研究所)』がおすすめです。
終活の全体像(持ち物・口座・保険・相続・葬儀・デジタル資産など)を図解で整理しながら、「今日はここから」進められる構成なので、おひとりさまの終活をはじめる最初のハードルを下げてくれます。
- 読みやすさ:図表・イラスト中心で短時間でも要点がつかめる
- 実用性:項目別チェックリストで“今やること”が明確
- 網羅性:医療・介護の意思表示(事前指示)、相続、葬儀・供養、デジタル遺品まで俯瞰
あわせて、自治体が配布する終活ガイドブックや無料相談も活用すると、地域事情や最新の手続き情報を補強できます。
おすすめ本一覧
タイプ | 書籍タイトル(著者/出版社・年) | こんな人におすすめ・推しポイント |
---|---|---|
入門/全体把握 | この1冊で安心!おひとりさまの終活まるわかり読本(税理士法人レガシィ/PHP研究所・2020) | 図解とチェックリストで全体像を一気に把握。まず一歩を踏み出したい人に。 |
制度・法律(実務) | おひとりさまの終活「死後事務委任」——「遺言書」「成年後見制度」とともに知っておきたい完全ガイド(國安耕太/あさ出版・2020) | 死後事務委任・遺言・後見を具体的な進め方で解説。ひとりでの手続きを万全に。 |
実務特化(死後事務) | おひとりさまの終活 お困りごとは死後事務委任で解決 自分らしい最期を叶える本(神田紀久男/かんき出版・2023 など版元記載に準拠) | 死後の手続き・委任契約の実務をやさしく解説。契約時のチェックポイントに強い。 |
生活実例/考え方 | おひとりさまの終活:自分らしい老後と最後の準備(中澤まゆみ/三省堂・2011) | 医療・暮らし・看取りまで等身大の実例で学べる。考え方を整えたい人に。 |
子なし前提の設計 | 子のいない人の終活準備 2025年度版(曽根恵子 監修/扶桑社ムック・2025) | 図解と書き込みシート付き。住まい・お金・お墓・相続の意思決定を段階的に整理。 |
相続・法律相談 | おひとりさま・おふたりさまの相続・終活相談(菊間千乃/自由国民社・2022) | 弁護士がありがちな疑問に答えるQ&A。法的リスクを先回りしたい人に。 |
上記のうち、まずは「全体把握 → 自分の優先課題の特定 → 制度・契約の深掘り → ノートで記録」の順に進めると、迷いにくく実行しやすい流れになります。必要に応じて自治体の相談窓口や専門職(司法書士・弁護士・税理士)にもつなぎましょう。
おひとりさまの終活とは?必要性と考えておきたい準備
「おひとりさまの終活」とは、結婚をしていない方や配偶者に先立たれた方、子どもがいない方などが、自分の人生の最期を自分らしく迎えるために行う準備のことです。一般的な終活と共通する部分もありますが、身寄りがいないことで発生する課題や判断を自分一人で行わなければならない点が大きな特徴です。ここでは、その必要性と具体的な準備内容を整理していきます。
身寄りがいない場合に直面する課題
家族がいない場合、入院や介護施設への入所時に「保証人」や「身元引受人」を求められるケースが多くあります。例えば、病院での緊急手術では承諾が必要ですが、代理で判断してくれる家族がいなければ手続きが滞る恐れがあります。
また、亡くなった後の遺品整理や住まいの処分も課題です。身寄りがいない場合は誰も片付けをしてくれないため、遺品整理業者や行政の支援に頼る必要があります。こうした現実を踏まえると、「誰に」「何を」任せるかを生前に決めておくことが安心につながります。
財産管理や医療・介護の意思表示
次に重要なのが、財産や医療・介護に関する意思表示です。たとえば、預貯金や不動産などの財産管理は、自分が判断できなくなった時に備えて「任意後見契約(にんいこうけんけいやく)」を結んでおく方法があります。これは、自分が信頼できる人に財産や生活管理を託す制度です。
また、医療や介護については「延命治療を望むかどうか」「在宅での療養を希望するか」といった意思を「事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)」にまとめておくと安心です。これにより、医師や介護施設が本人の希望を尊重しやすくなります。さらに、費用の管理や支払いについても仕組みを整えておくことで、トラブルを避けられます。
- 任意後見契約:将来判断能力が低下した場合に備える契約
- 事前指示書:延命治療や介護の希望を明文化する書類
- 財産リスト:預貯金・保険・年金などの整理表を作成
実際に、財産管理を明確にしていなかったために、遠い親族や行政が複雑な手続きを行うことになり、葬儀や納骨まで時間がかかった事例もあります。生前に準備しておくことで、こうした混乱を避けられます。
葬儀・お墓・供養の準備
最後に考えておきたいのが、自分の葬儀や供養の方法です。おひとりさまの場合、家族葬のような形を選ぶ人は少なく、「直葬(ちょくそう)」や「一日葬」といったシンプルな葬儀を希望するケースが増えています。直葬とは通夜や告別式を行わず、火葬のみで見送る形式です。費用を抑えつつ自分の意志を反映させやすい点がメリットです。
また、お墓に関しては「永代供養墓(えいたいくようぼ)」を選ぶ人が増えています。これは寺院や霊園が遺骨を長期にわたって管理・供養してくれる仕組みで、身寄りがいない方に適しています。さらに、「手元供養」といって、遺骨の一部を小さな骨壺やアクセサリーに収め、自宅で供養する方法も選択肢に入ります。
具体的には、次のような準備を進めておくと安心です。
- 希望する葬儀形式をエンディングノートに記載
- 葬儀社や寺院との事前相談を済ませておく
- 永代供養や納骨堂の利用を検討
- 葬儀費用を指定口座や保険で準備
このように、身寄りがいないからこそ、自分で判断し準備しておくことが大切です。終活は「死の準備」だけでなく、「今を安心して生きるための活動」でもあります。早めに取り組むことで、不安を減らし、より自分らしい人生の最期を迎えることができます。
終活を学ぶ本の選び方|自分に合った一冊を見つけるポイント
終活の本は数多く出版されていますが、内容や対象者はさまざまです。大切なのは「今の自分に必要なレベルやテーマを選ぶこと」です。最初から専門的な書籍に挑戦しても理解が追いつかず挫折してしまう場合があるため、自分の状況や目的に合わせて段階的に選ぶのがおすすめです。
入門編:基礎から学びたい人向け
終活をこれから始める方には、イラストや図解が豊富で全体像をつかみやすい入門書が向いています。
例えば「エンディングノートの書き方」や「終活の流れ」をやさしく紹介する書籍です。これらは医療・介護・相続・葬儀といったテーマを幅広く網羅しており、読者が「終活とは何か」を把握できるのが特徴です。
実際に読者の声では、「本を通じてやるべきことが一目でわかった」「まずは小さな片付けから始められた」といった感想が多く寄せられています。最初の一冊に入門編を選ぶことで、心理的な負担を軽くし、前向きに取り組めるようになります。
- おすすめ対象:40代後半〜60代前半で終活を考え始めた人
- 内容:基礎知識、全体の流れ、簡単なチェックリスト
- メリット:全体像を把握しやすく、具体的な行動につながる
実用編:書き込み式やチェックリスト付きの本
次の段階としておすすめなのが、実際に手を動かせる「ワークブック形式」の書籍です。これは、項目ごとに空欄があり、自分の情報を記入していくスタイルの本です。
預貯金や保険の整理、医療・介護の希望、葬儀の形式などを一つひとつ書き込むことで、自然と自分の終活が形になっていきます。
特に一人暮らしの方にとっては、書き残した情報が「いざという時に誰かが助かる資料」となります。例えば、万一倒れて入院した際に、ノートを見ればかかりつけ医や緊急連絡先が分かり、スムーズに対応できるというメリットがあります。
- おすすめ対象:終活を具体的に進めたい人
- 内容:チェックリスト、記入式フォーマット、費用管理表
- メリット:記録として残り、家族や第三者への引き継ぎに役立つ
また、自治体や金融機関が配布する終活ノートもありますが、市販本はより詳細な項目や事例が掲載されているため、両方を併用するとより安心です。
専門編:法律・相続・葬儀などに特化した本
ある程度基礎が理解できたら、関心のある分野を深掘りできる専門書を選びましょう。特に相続や遺言書に関する本は人気が高く、税金や不動産の扱いなど法律的な視点から詳しく解説されています。
独身で身寄りがいない方は「死後事務委任契約」や「成年後見制度」などを解説した書籍が役立ちます。
また、葬儀や供養に特化した本も選択肢です。永代供養墓や散骨など、新しい供養の形をわかりやすく解説する書籍も増えており、「自分に合う見送り方」を考える手助けとなります。
専門書はやや難易度が高いですが、具体的な事例や法改正に基づいた情報が得られるため、安心感があります。読者の中には「本を読んで弁護士に相談するきっかけになった」という声もあり、専門書が行動への橋渡しになっているのが特徴です。
- おすすめ対象:終活を本格的に進めたい人、制度をきちんと理解したい人
- 内容:法律・相続・税務、葬儀・供養の最新情報
- メリット:専門家と相談する前に知識を整理できる
このように、入門編→実用編→専門編というステップで本を選ぶと、無理なく理解を深められます。特におひとりさまの場合、記録を残すことが将来の安心につながるため、実用書や専門書をバランスよく取り入れると効果的です。
おひとりさまの終活に役立つおすすめ本5選

終活の準備は「何から手をつければいいのか分からない」という声が多く聞かれます。そんなときは、実際に役立つ情報や事例が盛り込まれた書籍を参考にすると安心です。ここでは、数ある終活本の中から特におひとりさまに適した5つのタイプの本を紹介します。自分の状況や目的に合わせて選べば、無理なく行動に移せるでしょう。
安心して老後を迎えるための実践書
「老後の生活資金」「医療・介護」「死後の手続き」など、幅広いテーマをカバーする実践的な本は、おひとりさまの終活の基本を網羅できます。たとえば『この1冊で安心!おひとりさまの終活まるわかり読本』は、税理士法人が監修しており、相続やお金の管理までしっかり押さえています。
実際に購入者のレビューでも、「全体像が分かりやすく、不安が軽くなった」と高く評価されています。まずはこうした実践書で全体をつかみ、自分が重点的に進めたい分野を見極めるのがおすすめです。
エンディングノート付きの便利な本
「読んで終わり」ではなく、実際に書き込めるエンディングノート付きの本も人気です。例えば、『もしものときのエンディングノート』、『ぶっちゃけ相続 お金の不安が消えるエンディングノート』、『2026年 相続法改正対応版 一番かんたんエンディングノート』、これらは必要な情報を記録するシートが付属しており、預貯金や保険、医療の希望、葬儀の形式などを整理できます。
おひとりさまの場合、残された情報がなければ行政手続きや葬儀社とのやりとりが滞ってしまいます。ノートに記しておくことで、信頼できる人や専門家に意思を託しやすくなる点が大きなメリットです。
相続や遺言に詳しい専門家が書いた本
財産や相続に関する不安を抱える人には、弁護士や司法書士が執筆した専門書がおすすめです。『おひとりさま・おふたりさまの相続・終活相談』のように、法律の専門家が実際の相談事例をもとに答える形式の本は、具体的な判断材料を与えてくれます。
特に「死後事務委任契約」や「任意後見契約」といった制度は、おひとりさまにとって大切な仕組みです。専門家が書いた本を通じて理解を深めておくと、実際に契約を検討する際のハードルが下がります。
葬儀や供養をテーマにした本
「どんな葬儀を希望するか」「お墓はどうするか」というテーマも、本を通じて考えることができます。直葬や一日葬、永代供養墓や納骨堂といった選択肢を紹介する本は、現代的なおひとりさまのニーズに合っています。
たとえば、『おひとりさまの終活「死後事務委任」』では、葬儀や供養に関する契約方法や注意点も解説されています。事前に知っておくことで、自分の意志を反映した見送り方を選べるでしょう。
おひとりさまの暮らしを前向きにするエッセイ
終活の本は堅苦しい内容ばかりではありません。ジャーナリストやエッセイストが書いた「おひとりさまの生き方」を描く本は、老後の暮らしを前向きに考えるきっかけをくれます。
『おひとりさまの終活 自分らしい老後と最後の準備』は、日常生活の工夫や医療との関わり方などを体験談とともに紹介しており、読んでいて励まされるという声も多い一冊です。実務的な本とあわせて読むことで、心の準備にもつながります。
このように、実践書・ノート形式・専門書・葬儀関連・エッセイといった多角的な本を組み合わせれば、知識と心構えの両面で安心感が得られます。自分に合った一冊を選び、今から少しずつ終活を始めてみましょう。
自治体が配布する冊子や終活支援サービスも活用しよう
終活の準備をするうえで、本やエンディングノートとあわせて活用したいのが、自治体による終活支援サービスです。
多くの市区町村では、高齢者福祉や地域包括支援センターを通じて、冊子や相談会を無料で提供しています。おひとりさまにとっては、信頼できる情報源として役立つだけでなく、専門家や地域の支援につながる入り口となります。
自治体の終活ガイドブックやチェックリスト
最近では、多くの自治体が「終活ガイドブック」「もしもノート」といった名前で冊子を配布しています。これらは役所や地域包括支援センターで入手でき、無料で配られるケースがほとんどです。内容は基本的な項目に沿って整理されており、例えば次のような情報をまとめられます。
- 緊急時の連絡先やかかりつけ医
- 保険・年金・口座などの金融情報
- 介護や医療に関する希望
- 葬儀や供養の希望、永代供養墓の選択
市販のエンディングノートほど細かい解説はありませんが、自治体が監修しているため制度や手続きに関する信頼性が高く、地域に即した情報を得られるのが強みです。
無料相談会やセミナーの情報を調べる
冊子の配布だけでなく、自治体では定期的に無料相談会や終活セミナーを開催しています。内容は「相続と遺言の基礎」「介護保険制度の活用」「エンディングノートの書き方講座」など、多岐にわたります。
例えば、ある市では司法書士会と連携し「死後事務委任契約」や「任意後見制度」の仕組みを解説するセミナーを行っています。参加者は実際に専門家へ質問できるため、本だけでは分かりにくい点を補うことができます。
自治体の広報誌や公式サイト、地域包括支援センターの掲示板をチェックすれば、こうしたイベント情報を得られます。事前予約が必要な場合も多いため、早めに確認すると安心です。
地域のサポートと本を併用するメリット
終活本は知識を整理するうえで非常に有効ですが、制度やサービスは地域によって異なります。そこで、「本で知識を得る」+「自治体のサービスで実践する」という併用が効果的です。
例えば、本で永代供養や直葬について学んだ後、地元の葬祭場や寺院に問い合わせれば、費用感や受け入れ条件といった具体的な情報を確認できます。また、財産管理や医療に関しても、書籍で基礎を理解し、自治体の相談会で専門家の意見を聞くことで、より現実的なプランが立てられます。
おひとりさまの場合、万一のときに頼れる親族がいないケースも多いため、地域のネットワークを持っておくことが安心につながります。本だけに頼らず、地域の支援を取り込むことで、終活が「机上の準備」で終わらず、実際の生活に根差したものになるのです。
このように、自治体のガイドブックやセミナーは、終活をより確実に進めるための実践的なツールです。積極的に活用し、自分らしい終活を安心して進めていきましょう。
まとめ
おひとりさまの終活は、自分の意思を明確にし準備を整えることが大切です。実践書やエンディングノートは、不安を具体的な行動に変える手助けになります。
さらに自治体のガイドブックやセミナーを活用すれば、地域の制度や最新情報を取り入れられます。本で学び、地域の支援で実践することで、自分らしい老後と最期を安心して迎える準備が進められるでしょう。