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ゼロ葬とは?費用相場と流れ・メリットと注意点を徹底解説

ゼロ葬とは?費用相場と流れ・メリットと注意点を徹底解説 
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「葬式をしない方法はあるの?」──そんな疑問を持つ方に知ってほしいのがゼロ葬です。火葬のみで行うため費用を大幅に抑えられる一方、従来の葬儀や墓の文化とは大きく異なる点もあります。選ぶ前に特徴や注意点を理解しておくことが大切です。

この記事ではゼロ葬の費用や流れ、他の供養との違いを詳しくご紹介します。

ゼロ葬とは?葬式も墓もいらない新しい供養のかたち

近年、「ゼロ葬(ぜろそう)」という言葉が注目を集めています。ゼロ葬とは、通夜や告別式といった儀式を一切行わず、火葬のみで故人を見送る供養の方法を指します。

さらに、遺骨を墓に納めず霊園や業者に委ねることで「お墓もいらない」という選択をする人も増えてきました。従来の葬儀文化に比べて非常にシンプルで費用負担が軽いため、経済的事情や価値観の変化から広まりつつあります。

ゼロ葬は「葬式なし」「墓もいらない」「火葬のみ」という選択肢を望む人にとって、現代的な供養のかたちといえるでしょう。ここでは、なぜゼロ葬が注目されているのか、その背景と従来の葬式との違いを解説します。

ゼロ葬が注目される背景と現代のニーズ

ゼロ葬が広まっている背景には、まず経済的負担の軽減があります。一般的な葬儀費用は全国平均で100万円以上とされ、加えて墓地や墓石の購入には数十万から数百万円が必要です。

そのため、「そこまで費用をかけられない」「残された家族に負担をかけたくない」という理由からゼロ葬を検討する人が増えています。

また、ライフスタイルや家族形態の変化も大きな要因です。少子高齢化や核家族化により、親族が遠方に住んでいて集まりにくいケースや、喪主を務められる人が限られているケースが増加しています。そのため、大規模な葬式よりも「最小限で見送りたい」というニーズが高まっています。

さらに、宗教的儀式にこだわらない人の増加も関係しています。無宗教や自然志向の人にとって、形式に縛られないゼロ葬は「自分らしい最後」として選ばれやすい傾向があります。

従来の葬式や墓との違い

従来の葬式では、通夜・告別式・火葬・納骨という流れが一般的でした。僧侶による読経や参列者の焼香といった宗教儀式が行われ、遺族や親族、知人が集まって故人を偲ぶ時間を共有します。

さらに、火葬後は墓を建てて納骨し、法要やお盆・彼岸などで供養を続けるのが慣習です。

一方、ゼロ葬ではこれらの流れが大幅に簡略化されます。儀式や会食を伴わず、火葬のみで終了する点が最大の特徴です。

また、遺骨は墓に納めず、遺族が手元で保管する「手元供養」や、寺院・霊園に一任する「合祀(ごうし)供養」などが選択されます。墓を建てないため、維持費や管理の手間もかかりません。

このように、ゼロ葬は従来の葬式文化とは大きく異なり、「お金・時間・人手」を最小限に抑えたシンプルな供養方法として注目されています。従来型と比較することで、自分や家族にとって最適な見送り方を考えるきっかけとなるでしょう。

ゼロ葬にかかる費用の相場と内訳

ゼロ葬の大きな特徴は、従来の葬式に比べて大幅に費用を抑えられる点です。通夜や告別式を行わず、火葬のみで完結するため、式場使用料や会食費、返礼品などが不要になります。そのため、全国的な相場を見てもゼロ葬は最もシンプルで低コストな葬送方法といえます。

ここでは、ゼロ葬にかかる費用を具体的に見ていきましょう。

火葬のみを行う場合の費用感

火葬だけを行う「直葬(ちょくそう)」に近い形では、費用は15万〜25万円前後が目安です。内訳としては以下のような項目が含まれます。

  • 火葬料(自治体により数千円〜数万円)
  • 搬送費(病院から安置施設、安置から火葬場まで)
  • 棺や骨壺などの葬具費用
  • ドライアイスや安置料(必要な日数分)

自治体によっては火葬料が無料または低額に設定されている場合もあり、その分全体費用を抑えることができます。

遺骨を引き取らない場合の費用

ゼロ葬の中でも「遺骨を持ち帰らず、業者や寺院に一任する」ケースでは、火葬後に遺骨を合葬墓や永代供養墓に納めてもらう形となります。この場合の費用は、火葬費用に加えて5万〜15万円程度が必要です。追加分は主に以下の費用です。

  • 永代供養料(合祀墓に納骨する費用)
  • 事務手続き代行費
  • 供養読経を依頼する場合のお布施

遺骨を残さない選択をすることで、将来的な墓の管理や法要の手間も不要になりますが、その分「形として残らない」点に注意が必要です。

一般的な葬儀費用との比較

一般的な葬儀(家族葬や一般葬)では、全国平均で100万〜150万円程度かかるといわれています。内訳は式場使用料、僧侶へのお布施、会食、返礼品、供花など多岐にわたり、参列者の人数によっても大きく変動します。

これに比べ、ゼロ葬は総額で20万〜40万円前後に収まることが多く、費用差は数十万〜100万円以上になることも珍しくありません。「できるだけシンプルに」「家族に経済的負担を残したくない」と考える人にとって、ゼロ葬は現実的な選択肢となりつつあります。

ただし、費用だけで判断するのではなく、家族の意向や供養の在り方も踏まえて検討することが大切です。

ゼロ葬を選ぶメリット

ゼロ葬を選ぶメリット

ゼロ葬は、従来の葬儀に比べて大幅に簡略化された供養方法であるため、さまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な3つの利点を整理して解説します。

経済的な負担を大きく減らせる

ゼロ葬の最大のメリットは、費用を大幅に抑えられる点です。一般葬の費用は100万円以上、家族葬でも数十万円が必要ですが、ゼロ葬は火葬のみで完結するため、平均20万〜40万円前後に収まります。

式場代や会食費、返礼品費用が不要になることで、遺族が抱える経済的負担を軽減できます。

特に、年金生活を送る高齢者や単身世帯では「子どもや親族に金銭的な迷惑をかけたくない」と考える人が多く、ゼロ葬は現実的な選択肢となっています。

遺族に負担をかけないシンプルな形

ゼロ葬は、葬儀の準備や参列者対応が不要なため、遺族の精神的・時間的負担を軽減できるのも大きな魅力です。

一般的な葬儀では、短期間で式場の手配や会葬者への対応を行う必要があり、喪主や遺族は大きなストレスを抱えがちです。

しかしゼロ葬では、火葬のみの手続きに絞られるため、故人を静かに見送ることに集中できます。親族が遠方に住んでいる場合や、参列者がほとんどいないケースでもスムーズに行えるのが安心です。

「葬式しない」「墓もいらない」を叶えられる

ゼロ葬は、近年増えている「儀式にこだわらない」「お墓を持たない」というニーズに応える供養方法です。葬式なし・墓もいらないという希望を現実的にかなえられるため、自分らしい最期を望む人に適しています。

また、墓を建てないことで維持管理の手間や費用も発生しません。遺骨は合祀墓や永代供養墓に納めることもでき、後世にわたって管理を子孫に託す必要もなくなります。

単身世帯や子どもがいない夫婦にとっては「将来の安心」に直結する大きなメリットです。

このようにゼロ葬は、経済面・精神面の両方で遺族の負担を減らし、価値観の多様化にも対応した現代的な供養の選択肢といえるでしょう。

ゼロ葬を選ぶ際のデメリットや注意点

ゼロ葬には大きなメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。選択を誤ると、後々家族や親族との間に不満や後悔を残すことになりかねません。ここではゼロ葬を検討する際に知っておきたい代表的な注意点を解説します。

宗教的儀式や供養の機会がない

ゼロ葬は火葬のみで完結するため、僧侶による読経や焼香といった宗教儀式が行われません。従来の葬儀では、故人の冥福を祈るための儀式が重要視されてきましたが、ゼロ葬ではその機会が失われます。

宗教的な供養を重視する家庭では「供養が足りないのでは」と感じる場合があり、親族間で意見の相違が生じることもあります。

また、四十九日や一周忌などの法要に結びつきにくく、長期的な供養の場を持ちにくい点もデメリットといえるでしょう。

親族や周囲の理解が得られにくい場合がある

ゼロ葬はまだ一般的に浸透しているとはいえず、「葬式をしないなんて非常識では?」と捉える人も少なくありません。特に年配の親族や地域社会との関わりが強い家庭では、ゼロ葬を選ぶことが反感を買う恐れもあります。

実際に「自分はシンプルに見送られたい」と考えていても、親族が「せめて通夜や告別式はしてほしい」と望むケースもあります。

このような意見の食い違いがトラブルにつながる可能性があるため、事前に家族間で十分な話し合いをしておくことが大切です。

遺骨や遺影が残らないことへの後悔

ゼロ葬では、遺骨を合祀墓や霊園に一任するケースが多く、遺骨や遺影といった「形に残るもの」が手元にないという点が特徴です。一時的には合理的だと感じても、後になって「せめて遺骨を少しは手元に残せばよかった」と後悔する遺族もいます。

また、遺影を用意しない場合は、故人を偲ぶ場面で写真がなく寂しさを感じることもあります。ゼロ葬を選ぶ際には、「将来、遺族がどのように故人を思い出したいか」を考慮することが重要です。

このように、ゼロ葬は費用や手間を抑えられる反面、宗教的・心理的な側面で不満が残る可能性があります。メリットだけで判断せず、家族や親族の価値観も踏まえたうえで慎重に検討することが大切です。

ゼロ葬の流れと手続き方法

ゼロ葬は「葬式なし・火葬のみ」で行われるため、従来の葬儀に比べて手続きや準備がシンプルです。ただし、最低限の流れを理解しておかないと当日慌ててしまうこともあります。ここではゼロ葬を実際に行う際の基本的な流れと、事前に準備しておくべきポイントを解説します。

葬式なしで火葬のみを行う手順

ゼロ葬の中心となるのは火葬手続きです。基本的な流れは以下の通りです。

  • 医師から死亡診断書を受け取る
  • 市区町村役場で死亡届を提出し、火葬許可証を取得する
  • 葬儀社や火葬場と日程を調整し、搬送・火葬の手配をする
  • 当日、安置場所から火葬場へ搬送し、火葬を行う

この流れは直葬(火葬式)とほぼ同じですが、ゼロ葬では通夜や告別式を省略する点が大きな違いです。遺族だけが立ち会うシンプルな形となります。

火葬後の遺骨の扱い(引き取り・委託)

火葬が終わると遺骨をどうするかを決める必要があります。主な選択肢は以下の二つです。

  • 遺骨を引き取る場合:自宅に安置する「手元供養」や、後日納骨堂・樹木葬・散骨などを選べます。
  • 遺骨を委託する場合:火葬場や葬儀社を通じて永代供養墓や合祀墓に納めてもらう方法があります。維持費や管理が不要になる反面、後から遺骨を返還してもらえないケースも多いので注意が必要です。

ゼロ葬を選ぶ方の中には「墓もいらない」という意向で委託するケースが増えていますが、後悔しないよう家族の意見を確認しておきましょう。

事前に準備しておくべきこと

ゼロ葬をスムーズに進めるためには、以下の準備が大切です。

  • 対応可能な葬儀社を事前に探しておく
  • 火葬場の予約状況や費用を確認する
  • 遺骨の扱い(引き取るか、委託するか)を家族で話し合っておく
  • 費用の目安を把握し、急な出費に備えておく

特に葬儀社の選定は重要です。ゼロ葬に対応していない業者もあるため、事前に「火葬のみでお願いしたい」と伝えて確認しておきましょう。

このように、ゼロ葬は手続き自体は簡略化されていますが、遺骨の扱いや家族間の意思統一を怠ると後々トラブルになる可能性もあります。事前準備をしっかり整えることで、落ち着いて故人を見送ることができるでしょう。

ゼロ葬以外の選択肢も知っておこう

ゼロ葬は費用や手間を抑えられる新しい供養方法ですが、すべての人に適しているわけではありません。状況や価値観によっては、他の葬送形式を選んだ方がよいケースもあります。

ここではゼロ葬と比較されることの多い直葬や永代供養、さらに小規模な家族葬や一日葬との違いを紹介します。

直葬(火葬式)との違い

直葬(ちょくそう)とは、通夜や告別式を省き、火葬のみを行う葬儀形式を指します。流れとしてはゼロ葬と非常に似ていますが、直葬の場合は遺族や近しい親族が少人数で集まり、簡単な焼香やお別れの時間を持つのが一般的です。

一方、ゼロ葬は遺族の立ち会いも最低限にとどめ、宗教儀式も省略するケースが多いため、より徹底した「葬式なし」の形といえます。つまり、直葬は「簡素な葬儀」、ゼロ葬は「葬儀そのものをしない」という違いがあるのです。

永代供養や樹木葬などの供養方法

「墓もいらない」と考える人にとっては、ゼロ葬後の遺骨の扱いが重要なテーマとなります。代表的な選択肢には以下のようなものがあります。

  • 永代供養:寺院や霊園が遺骨を合祀墓に納め、長期的に供養してくれる方法。管理や法要を任せられるため、後継者がいない人にも安心です。
  • 樹木葬:墓石を建てず、シンボルとなる樹木の下に遺骨を納める自然志向の供養方法。緑に囲まれた環境で眠れることから人気が高まっています。
  • 散骨:海や山に遺骨をまく方法。自由で象徴的な供養ですが、地域や業者によってルールがあるため注意が必要です。

これらの方法はゼロ葬と組み合わせて選ばれることも多く、「墓はいらないけれど供養の形は残したい」というニーズに応えています。

家族葬・一日葬との比較

ゼロ葬を検討する人の中には、より柔軟な形を求めて家族葬や一日葬を選ぶケースもあります。家族葬は近親者のみで行う小規模な葬儀で、費用を抑えつつも従来の儀式を取り入れられるのが特徴です。

一日葬は通夜を省略し、告別式と火葬を一日で済ませる方法で、費用・時間の両面で負担を軽くできます。

これらはゼロ葬に比べて費用は高めですが、親族への配慮や儀式性を保ちながら簡略化できるというメリットがあります。ゼロ葬に強いこだわりがなければ、こうした中間的な選択肢も検討する価値があります。

このように、ゼロ葬以外にも多様な選択肢が存在します。自分や家族の考え方、親族との関係性を踏まえたうえで、納得できる供養方法を選ぶことが大切です。

まとめ

ゼロ葬とは、葬式や墓を持たずに火葬のみで故人を見送る新しい供養の形です。費用を抑え、遺族の負担を軽減できることから注目を集めています。平均20万〜40万円程度で行えることが多く、経済的にも現実的な選択肢といえるでしょう。

一方で、宗教的儀式や供養の場が持てないことや、親族から理解を得にくいといったデメリットもあります。

また、遺骨や遺影が残らない場合、後に後悔につながる可能性も否定できません。そのため、ゼロ葬を選ぶ際には「費用の安さ」だけで判断せず、家族の意向や供養の在り方を十分に考慮することが大切です。

ゼロ葬以外にも直葬、永代供養、樹木葬、家族葬、一日葬など多様な選択肢があります。どの方法が最適かは、故人の希望や家族の考え方によって変わります。大切なのは、「自分や家族にとって後悔のない見送り方を選ぶこと」です。事前に情報を整理し、話し合いを重ねることで、安心して最期を迎える準備ができるでしょう。