コラム

無宗教葬儀の基礎と進め方|費用・準備・供養

無宗教葬儀の基礎と進め方 費用・準備・供養
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お坊さんに頼らない無宗教葬儀でも、失礼にならず穏やかに見送れます。本記事は「会場→台本→人員」の順で段取りを示し、費用の目安や見積チェック、納骨や手続きまでを最短ルートで解説します。初めてでも、そのまま進め方に落とし込めます。

この記事のポイント

 無宗教葬儀は宗教儀礼を省き、故人らしさで送る実用的な選択肢。

この記事で分かること

無宗教葬儀は読経や仏式進行を行わず、献花・音楽・思い出紹介などで見送りする形式。

費用は式の規模・会場・演出内容で変動し、宗教者謝礼が不要な分、設計次第で抑制も可能。

デメリットは親族理解・寺墓地との関係・「その後」の弔い設計。事前合意と段取りが鍵。

要点(短く)

結論
無宗教葬儀とは、宗教者の読経や作法を省き、献花・音楽・故人紹介などオリジナル進行で見送る葬送形式です。

進め方(6ステップ)
以下の手順で進めます。

  1. 希望確認
  2. 会場・司会選定
  3. 進行台本作成
  4. 写真・音楽準備
  5. 献花・黙祷など実施
  6. 納骨・「その後」の弔いを設計

チェックすべき要点(5つ)
無宗教葬儀をおこなう時は次の要点を確認します。

  • 宗教儀礼なし
  • 献花/音楽/思い出紹介
  • 司会進行と台本が要
  • 費用は設計次第
  • 親族合意と「その後」を準備

要点まとめ|無宗教葬儀の基本と選び方

宗教儀礼を省き、献花や音楽で送る自由設計。家族合意と会場・進行を先に決めれば迷いません。

無宗教葬儀とは(流れと特徴)

読経や焼香作法などの宗教儀礼を行わず、司会進行と献花・黙祷・思い出紹介で見送る形式です。開式→故人紹介→弔辞・スライド→献花・黙祷→閉式が基本で、60〜90分が目安です。宗教者謝礼が不要なぶん費用設計の裁量が広く、本人らしさを反映しやすい一方、台本作成や素材準備の作業は発生します。大手・専門式場の多くは無宗教進行に対応します(司会中心の進行に切替)。

向く人・向かない人

向く人は、寺院との付き合いが薄い、会葬者が少〜中規模、音楽や写真で故人らしさを表現したいケースです。向かないのは、菩提寺があり仏式を望む親族が多い、墓所が寺院管理で宗教儀礼を前提にしている場合です。親族の理解を得るため、事前に進行案と代替儀礼(黙祷・献花)を共有します。

最初に決めること(場所・時間・弔い方)

  1. 会場候補を3つ(式場・貸ホール・レストラン)選び、最寄り火葬場までの移動時間を確認します。
  2. 所要60〜90分で台本の山場(故人紹介・献花)を決め、担当司会の有無を確定します。
  3. 予算は税込総額で比較します。例:よりそうお葬式「よりそう家族葬 一日プラン」297,000円(公式・2025年9月)、はないろ「家族葬プラン」438,900円/資料請求後407,000円(公式・2025年9月)、セレモア「セレモアパック49.8」547,800円(公式・2025年9月)、家族葬のファミーユ「家族葬プラン66」726,000円(首都圏ページ・公式・2025年9月)。いずれも無宗教進行に切替可能で、火葬料・料理・返礼は別計上が一般的です。
  • 項目:会場距離/内容:火葬場までの所要/目安:片道15〜45分/注意点:車両費・待機時間が増えやすい
  • 項目:台本と司会/内容:進行・弔辞・献花の配列/目安:60〜90分/注意点:素材準備に2〜3日
  • 項目:費用/内容:プラン+式場料+火葬料/目安:30万〜70万円台中心/注意点:オプションで変動

進め方と当日の流れ

無宗教でも迷わない要点は「会場→台本→人員」の順で固め、所要60〜90分で無理のない動線と音響を整えることです。

会場選びと準備物(動線・音響・スクリーン・控室)

会場は「火葬場までの移動時間」「高齢者の出入り」「音響・投影」の3点で選びます。式場ホールのほか、貸ホールやレストラン貸切も候補になります。スクリーンは80〜120インチ、プロジェクターは3,000lm以上を目安にすると明るい会場でも見やすいです。

控室は6〜10名が腰掛けられる広さが安心です。準備物は写真データ(100〜150枚)、BGM(開式/献花/閉式の3曲)、弔辞の順番表、進行台本、指示カード(合図用)です。車椅子やベビーカー動線、喫煙所や駐車場の位置も事前に確認します。

司会と台本づくり(60〜90分の目安)

無宗教進行は司会が要となるため、「誰が合図し誰が話すか」を台本に明記します。基本は①開式挨拶②故人紹介③弔辞・弔電④スライド上映⑤献花・黙祷⑥謝辞⑦閉式で、全体60〜90分が目安です。

弔辞は3名以内、1人2〜3分に収めると停滞しません。BGMはボリューム基準だけ決めて、曲名は当日変更に備え代替を用意します。司会は会場係とインカムまたはハンドサインで連携し、照明・音量・スクリーン切替のタイミングを前日リハで合わせます。

開式から閉式までの進行例

開式10分前に遺影点灯・BGM準備→定刻に開式挨拶→2〜3分の故人略歴→弔辞・弔電10〜15分→思い出スライド5〜7分→献花15〜25分(ご親族→ご友人→一般の順)→遺族代表の謝辞3〜5分→閉式挨拶で終了という流れです。

献花の列が長い場合は2列導線に変更し、BGMをループにします。会場スタッフは入口・献花台・控室に最低3名配置します。

  • 項目:会場動線/内容:入口→着席→献花→退出/目安:2列導線で滞留軽減/注意点:車椅子優先レーンを設定
  • 項目:音響・投影/内容:マイク2本・BGM・映像/目安:前日10分リハ/注意点:USBとHDMIの冗長化
  • 項目:人員配置/内容:入口・献花・控室/目安:各1名以上/注意点:合図役は司会の右後方に固定

費用と準備期間の目安

費用と準備期間の目安

無宗教葬儀の総額は「プラン料金+式場料+火葬料+飲食・返礼」で決まり、準備は目安3〜7日で整います。

価格帯と内訳(直送/お別れ会/会場式)

直送(火葬のみ)は10万〜25万円+火葬料が目安です。会場を使わないため費用を抑えやすい一方、お別れの時間は短くなります。会場で行う一日形式は30万〜70万円台が中心で、写真・音楽・献花を入れても宗教者謝礼が不要なぶん設計しやすいです。

実例として、よりそうお葬式「よりそう家族葬 一日プラン」297,000円(公式サイト・2025年9月)、家族葬専用式場はないろ「家族葬プラン」438,900円/資料請求後407,000円(公式サイト・2025年9月)、セレモア「セレモアパック49.8」547,800円(公式サイト・2025年9月)、家族葬のファミーユ首都圏「家族葬プラン66」726,000円(公式サイト・2025年9月)が参考になります。いずれも無宗教進行に対応可能で、火葬料・飲食・返礼は別計上です(地域差あり)。

追加になりやすい費用と発生条件

  • 安置延長:1日あたり8,000〜15,000円、ドライアイス1回8,000〜12,000円(会館差あり)。
  • 搬送距離超過:基本距離超過ごとに加算、10kmあたり5,000〜10,000円が目安。
  • 式場・控室料:5万〜20万円、人気会館や2日利用で上振れ。
  • 飲食・返礼:通夜2,000〜4,000円/人、精進落とし3,000〜5,000円/人、返礼800〜1,500円/個。
  • 深夜早朝:22:00〜5:00帯で20〜30%の割増設定が一般的。
  • 見積は税込総額・内訳・単価・起点時刻まで書面で確認
  • 火葬料・式場料・飲食・返礼は地域差を前提に比較

手配から当日までのスケジュール

  1. 当日〜翌日:搬送・安置・会場仮押さえ。写真データ収集を家族で分担します。
  2. 2〜3日目:台本と弔辞を確定、音楽・スライドを校正します。司会とリハを10〜15分でも実施します。
  3. 3〜5日目:式当日。開式〜閉式60〜90分、献花が混む場合は2列導線に切替えます。
  • 項目:プラン料金/内容:各社プラン名・税込/目安:30万〜70万円台/注意点:火葬料別が多い
  • 項目:式場・控室/内容:会場・控室の等級/目安:5万〜20万円/注意点:日程で変動
  • 項目:飲食・返礼/内容:人数×単価/目安:合計数万円〜/注意点:キャンセル期限

すべて地域差・時期差があるため、最新の公式ページと書面見積で最終確定します。

口コミ・評判の実例

無宗教葬儀の評価は「自由度と段取り」のバランスで決まり、準備の見通しを共有できた家族ほど満足度が高いです。

良かった点の実例(自由度・本人らしさ・短時間)

家族の意向で読経を省き、写真スライドと好きな曲で送ったケースでは「参列者が故人のエピソードを自然に語り合えた」との声が多いです。式全体を60〜80分に収めると、高齢の親族も負担が少なく、献花の動線も乱れにくいです。

また、司会が台本を事前共有し、弔辞の持ち時間を2〜3分で統一した例では「間延びせず、静かな時間を確保できた」と評価されました。進行の山場(紹介→映像→献花)が明確だと、宗教儀礼がなくても一体感が生まれます。

気になった点の実例(準備負担・親族の理解・演出費)

短期間で写真100枚以上を集め、映像を校正した家族は「夜間作業が続いた」と負担感を挙げています。弔辞や映像を増やし過ぎた結果、予定を20分超過し、火葬場移動が慌ただしくなった例もあります。

「お坊さんがいないのは寂しい」という親族の不安は珍しくありません。事前に黙祷や献花の意味を説明し、閉式後に静かに送る時間を設けたケースでは納得感が高まりました。装花・音響・映像の追加で見積が膨らむ指摘もあり、上限額の設定が有効です。

地域別の短い事例(東京/大阪/福岡)

東京では火葬場併設式場を選び、移動を最小化した例が好評です。献花は2列導線にして滞留を防ぎ、閉式後に近親者だけの面会時間を確保しました。

大阪の貸ホール利用例では、駅近で参列しやすい一方、音量や持込の制限があり、事前の機材チェックが役立ちました。

福岡のレストラン貸切では、会食と追悼を一体化し「会話が弾み、明るく見送れた」と評価されました。席次表とマイク位置を整えることで、式としての秩序も保てます。

  • 確認チェック
  • 事前共有:台本・弔辞時間・献花の順番を家族と司会で統一します。
  • 上限設定:装花・映像・音響の追加費は上限額を決めます。
  • 動線確認:会場図で入口→献花→退席の流れを当日スタッフと擦り合わせます。

よくある不安と契約前チェック

無宗教は法的に可能です。契約前は納骨条件と見積の発生条件を確認し、連絡体制・担当者の引き継ぎまで書面で固めます。

お坊さん無しは可能か(法的可否・会場の対応)

無宗教葬儀は問題なく実施できます。日本では宗教の有無や形式を強制する法はなく、葬送自体は遺族の自由です(憲法20条の趣旨、自治体の葬祭手続き要領の解説・2025年9月)。多くの式場・葬儀社は司会中心の進行に対応しており、黙祷・献花・映像上映で整えれば礼を失しません。会場予約時に「宗教者は手配しない」「献花中心の進行」と明記し、音響・スクリーン・控室の使用可否を確認します。

寺墓地・納骨のルールと代替策

寺院管理の墓地は、宗教儀礼や檀家条件を求める場合があります。無宗教で式を行い、納骨のみ読経をお願いする折衷も可能ですが、住職の方針があるため早めの相談が安全です(寺院利用規程の一般運用・2025年9月)。代替として、公営墓地、共同墓・樹木葬、手元供養を組み合わせる方法があります。納骨先が未定でも、四十九日や命日に合わせて「お別れ会」を行えば、弔意の場を確保できます。

見積書で確認する項目(税込・内訳・発生条件)

  • 税込総額・内訳・発生条件・有効期限を必ず書面で確認します。
  • 安置延長(1日単価の起点)、ドライアイス回数、搬送の超過km単価、式場・控室の時間帯料金、深夜早朝の割増、キャンセル規定を明文化します(葬儀業界団体の標準様式解説・2025年8月)。
  • 項目:基本プラン/内容:名称・税込/目安:一日形式が中心/注意点:火葬料別が多い
  • 項目:式場・控室/内容:時間・等級/目安:時間超過で加算/注意点:友引・繁忙期の変動
  • 項目:人件・車両/内容:運営人数・搬送距離/目安:距離超過加算/注意点:深夜帯割増

連絡体制と担当者の引き継ぎ

24時間の連絡先と主担当・副担当を確認し、変更時の引き継ぎ方法(共有メモや案件管理システム)を事前に決めます。当日のタイムライン、合図の役割分担(司会・会場・音響)を1枚にまとめ、前日リハで最終確認します。次のチェックリストを使うと漏れを防げます。

  • 連絡:24時間窓口・直通番号・緊急時の代替手段を記載
  • 台本:開式〜閉式の時刻、弔辞人数、献花導線を確定
  • 書面:見積PDF・契約書・キャンセル規定を同一条件で保管

葬儀後の手続きと供養

葬儀後は「納骨の方針→弔いの場→各種手続き」を早順で固めると迷いません。期限がある手続きは先に着手します。

納骨先の選び方(共同墓・樹木葬・手元供養)

納骨は「どこに・誰が・どの費用で」行うかを家族で合意します。寺墓地が難しい場合は、公営や民営の共同墓、樹木葬、手元供養の組み合わせが現実的です。共同墓は永代供養料のみで維持費が抑えやすい一方、個別区画ではない点を理解します。樹木葬は参拝がしやすく、プレート管理料が発生する施設もあります。手元供養は粉骨後に分骨カプセルやミニ骨壺で保管します。

  • 項目:共同墓/内容:永代供養合祀/目安:費用は数万〜数十万円/注意点:個別の墓標が無い場合あり
  • 項目:樹木葬/内容:樹木・ガーデン型区画/目安:数十万〜/注意点:埋葬許可と管理規程の確認
  • 項目:手元供養/内容:自宅で安置/目安:粉骨・容器代で数万〜/注意点:将来の納骨先も併せて計画

命日や記念日の弔い方

無宗教でも節目を決めると心が整います。命日や誕生日に小さな写真・花・音楽での追悼を行い、遠方の親族とはオンライン献花やメッセージ共有を活用します。お別れ会は会食を中心に60〜90分で構成し、冒頭に黙祷、最後に献花または拍手で締めると流れが自然です。香典表記は「御花料」を使うと伝わりやすいです。会場予約時は音響の持込可否や写真投影の可否を必ず確認します。

30日・60日・90日の手続きスケジュール

期限のある手続きは先に片付けます。具体的な期限や必要書類は制度・自治体で差があるため、最新の案内を確認します(自治体・年金・保険の公式案内に基づく実務目安/2025年9月時点)。

  • 30日以内:健康保険の資格喪失や葬祭費・埋葬料の申請、公共料金や携帯の名義変更、クレジット・サブスク解約。
  • 60日以内:生命保険・共済の請求、遺産口座の残高証明、相続人の戸籍収集と遺産目録の作成、各種ポイントの相続・失効確認。
  • 90日以内:相続の単純承認・限定承認・相続放棄の判断(家庭裁判所申述は原則3か月以内が目安)。遺品整理の計画と不動産・自動車の名義変更準備。
  • 項目:年金・保険/内容:受給停止・保険金請求/目安:30〜60日で着手/注意点:書類の原本保管
  • 項目:金融・公共料金/内容:口座・光熱・通信/目安:30日以内に名義整理/注意点:自動引落の停止確認
  • 項目:相続判断/内容:承認・放棄/目安:90日以内を目安/注意点:家庭裁判所の期限に注意

よくある質問

無宗教葬儀の流れは?

開式→プロフィール紹介→弔電/弔辞→スライド・音楽→献花・黙祷→閉式が基本。宗教者の代わりに司会と台本が重要です。

お坊さん無しは「ありえない」?

いいえ。法的制約はなく会場側も対応可能です。ただし親族や菩提寺の理解、墓所規約は事前確認が必要です。

費用は安い?

宗教者謝礼が不要な分は抑えやすい一方、会場費・演出・司会制作費で上下し、総額は設計と人数で決まります。

葬式をしないと後が困る?

参列機会が無くなるため、お別れ会や献花日など弔意の場を別途用意し、遺品・納骨の段取りを決めれば対応可能です。

その後の供養はどうする?

納骨(共同墓・樹木葬・手元供養)や命日・誕生日の追悼に加え、遺産手続や相続届を時系列で進めます。

無宗教葬儀のメリットは?

故人らしさを表現しやすく、時間配分や演出の自由度が高い点と、宗教者謝礼不要で費用設計の裁量が大きい点です。

デメリットは?

読経がないことへの違和感や、寺墓地との関係・納骨受け入れ条件の制約があり、事前合意と代替設計が不可欠です。

会場はどこが向く?

会館ホール、貸し会議室、レストラン貸切などで、動線・音響・スクリーン・控室・駐車場の要件を満たす場所が適します。

進行は誰が作る?

司会者(葬祭司会/プロ司会)と家族代表で台本化し、60〜90分を目安に「紹介→メッセージ→献花」の山場を設計します。

予算の目安は?

直送〜簡易お別れ会で10万〜30万円台、会場式の一日開催で30万〜80万円台が目安で、人数・会場費・制作物で変動します。

香典や服装は?

香典は地域慣習に合わせ「御花料」表記が一般的。服装は喪服推奨ですが、遺志で平服指定も可で招待状に明記します。

「葬式しない」は可能?

可能です。ただし関係者の弔意の場が無くなるため、後日のお別れ会・献花日・オンライン追悼など代替の場を設定します。

まとめ

葬儀後は、まず家族で納骨の方針(共同墓・樹木葬・手元供養など)を合意し、命日や記念日の弔い方を決めます。続いて、健康保険や年金、保険金請求、口座・公共料金の名義変更など“期限のある手続き”を期日順に着手します。

無宗教の式は法的に問題なく、会場・台本・人員を事前に固めれば滞りません。費用はプラン+式場+火葬+飲食・返礼で構成され、追加費の発生条件を見積書で書面確認すると安心です。迷ったら自治体窓口と金融・保険の担当へ同時相談してください。