「葬式の次の日はどう過ごせばよいのか」と迷う方は多いでしょう。休むことは非常識ではなく、社会的にも認められています。
また、挨拶や法要の準備など、知っておくべき流れがあります。本記事でポイントを整理して安心して対応しましょう。
葬式の次の日にすることは?基本的な流れと注意点
葬式を終えた翌日は、心身ともに大きな疲れを感じやすい時期です。しかし、火葬後にはすぐに終わらない手続きや儀式があるため、落ち着いて対応することが求められます。
ここでは、葬式の次の日に行うことが多い儀式や、親族や関係者への挨拶、そして職場や学校に休む理由を伝える際のポイントについて解説します。
火葬後の翌日に行うことが多い儀式や対応
葬儀や火葬を終えた翌日には、地域や宗派によっては「後飾り(あとかざり)」を設ける準備を行うことがあります。
後飾りとは、四十九日法要までの間に遺骨や位牌を安置する祭壇のことです。白木の机や台に骨壷、白木位牌、遺影などを置き、供花や供物を添えることで、故人を偲ぶ場を家庭に整えます。葬儀社によっては火葬後すぐに設置してくれる場合もありますが、翌日に家族で整えるケースも少なくありません。
また、仏教の一部の宗派では「繰り上げ初七日法要」を葬儀当日に行わず、翌日に営むこともあります。初七日は本来亡くなってから七日目に行う供養ですが、日程の都合や地域慣習により翌日以降に繰り上げる場合があります。こうした宗教行事がある場合は、僧侶や葬儀社と事前に確認しておくと安心です。
さらに、火葬後には役所への書類提出や年金・保険関連の手続きも必要になります。ただし、これらは翌日に必ず行うものではなく、期限が設けられているため、体調や心の整理を優先して無理のない範囲で進めることが大切です。
親族や関係者への挨拶はいつ行うのがよいか
葬式の次の日には、参列していただいた親族やご近所、会社関係の方々へのお礼を考える必要があります。
ただし、翌日にすべての人へ直接挨拶に伺うのは現実的ではありません。そのため、まずは身近な親族や世話役を務めてくれた人へ電話や訪問で感謝の気持ちを伝えるのが一般的です。
ご近所への挨拶は、葬儀や通夜で駐車場や通行に協力してもらった場合に特に重要です。翌日または数日以内に菓子折りなどの手土産を持参し、丁寧にお礼を述べると今後の関係も円滑になります。
一方、遠方から参列してくれた親族や知人については、後日あらためて礼状や香典返しとともに感謝を伝えるのが一般的です。
僧侶や葬儀社スタッフへのお礼も重要なポイントです。葬儀当日に渡しきれなかった場合や追加で確認事項がある場合は、翌日に連絡を入れておくとよいでしょう。
休む理由をどう説明するか
葬式翌日の過ごし方で悩む人が多いのが、仕事や学校を休むかどうかという点です。一般的には、葬儀後も心身の疲労や残務整理があるため、翌日に休むのは決して非常識ではありません。
会社員の場合は「忌引き休暇」が就業規則で定められていることが多く、近親者の葬儀であれば数日から一週間程度休めるのが通常です。翌日も休む際は「葬儀後の整理や親族への挨拶のため」など具体的な理由を添えると理解されやすくなります。
学校に通う子どもの場合も同様で、担任の先生に「葬儀の翌日まで休ませたい」と伝えれば、多くの学校で配慮してもらえます。無理に登校・出勤させて体調を崩したり集中力を欠いたりするより、翌日まで休んで落ち着いた状態で再開する方が望ましいでしょう。
重要なのは、休む理由を正直かつ簡潔に説明することです。過度に詳細を語る必要はなく、「葬儀後の必要な手続きと挨拶のため」など簡潔な言葉で伝えるとスムーズです。
葬式の次の日に休むのは非常識?職場や学校への伝え方
葬式が終わった翌日、仕事や学校を休むことにためらいを感じる人は少なくありません。しかし、葬儀は故人を弔うだけでなく、残された家族が心を整える大切な時間でもあります。
実際には休むことは非常識ではなく、社会的にも配慮されるべき場面です。ここでは、葬式の次の日に休むことの意味と、職場や学校への伝え方のポイントを解説します。
忌引き休暇の基本と日数の目安
会社員の場合、就業規則に「忌引き休暇」が定められていることが多いです。忌引きとは、近親者が亡くなった際に仕事を休む制度で、日数は続柄によって変わります。
一般的には、配偶者で7日、父母で5日、祖父母で3日程度が目安とされています。葬式当日や火葬の日に加えて、翌日まで休むことも含まれているため、無理に出勤する必要はありません。
ただし、会社によっては規定が異なるため、総務や上司に確認することが大切です。忌引き休暇は有給とは別枠として扱われることも多く、安心して取得できます。
職場や学校への伝え方のマナー
休む際には、できるだけ早めに職場や学校へ連絡を入れることが大切です。連絡方法は電話やメールが一般的ですが、社会人の場合は上司に直接電話で伝える方が丁寧です。伝える際には、以下のようなシンプルな表現を使うと良いでしょう。
- 「葬儀後の整理や親族への挨拶のため、明日まで休ませていただきます」
- 「火葬後の翌日も必要な対応があるため、引き続き忌引きをいただきます」
学校の場合は保護者が担任の先生に電話連絡し、子どもを翌日まで休ませたい旨を伝えれば十分です。多くの学校では事情を理解し、柔軟に対応してくれます。
無理に出勤・登校しない方がよいケース
葬式の次の日に出勤や登校を控えた方がよいケースもあります。たとえば、以下のような状況です。
- 心身の疲労が強く残っている場合:通夜から火葬まで連日対応すると、睡眠不足や体調不良を招きやすく、無理をするとかえって迷惑をかけることになります。
- 法要や宗教的な行事が翌日に控えている場合:繰り上げ初七日や後飾りの準備が必要であれば、家族が揃って対応することが優先されます。
- 親族との情報共有や今後の手続きが必要な場合:相続や役所の手続きなど、家族で話し合わなければ進まないことも多いため、時間を確保することが重要です。
このような場合には、無理に社会生活へ戻るよりも休暇を取り、落ち着いた状態で再開する方が自分にとっても周囲にとっても安心です。
葬式の次の日を休むことは非常識ではなく、社会的にも認められている行動です。周囲に誠意をもって伝えれば、理解を得ることは難しくありません。
葬儀の翌日に行う挨拶とお礼の対応

葬儀を終えた翌日は、参列者や近隣の方々に対して感謝の気持ちを伝える大切な機会です。葬式の次の日にどのような挨拶やお礼を行えばよいのか迷う方も多いですが、ポイントを押さえれば負担を減らしつつ誠意を示すことができます。
ここでは、参列者・近所・葬儀関係者への対応について具体的に説明します。
参列者や近所へのお礼の言葉
葬儀に参列してくださった方々へは、翌日以降にできるだけ早く感謝を伝えるのが望ましいです。遠方から来てくださった親戚や友人には電話やメールで「昨日はご多忙の中、参列いただきありがとうございました」と一言伝えるだけでも誠意が伝わります。
また、近所の方々には通夜や葬儀での駐車場利用や人の出入りなどに協力いただくことも多いため、菓子折りなどの手土産を持って翌日か数日以内に挨拶回りをするのが一般的です。
特に町内会や自治会の役員にお世話になった場合は、直接足を運んで感謝の言葉を述べると今後の関係も良好に保てます。
葬儀社や僧侶へのお礼・支払い
葬儀社や僧侶へのお礼も葬式翌日に確認しておきたい対応のひとつです。葬儀社には葬儀費用の最終精算が発生する場合があり、請求書を受け取った時点で支払日を確認することが大切です。早めに支払いを済ませておけば、後日の負担が減ります。
僧侶へのお布施は葬儀当日に渡すのが原則ですが、やむを得ず渡せなかった場合は翌日にあらためてお寺に伺う、または葬儀社を通じて渡すことも可能です。その際には「昨日はご多忙の中、ご読経を賜り誠にありがとうございました」と丁寧に挨拶を添えるとよいでしょう。
香典返しや後日の対応に関する準備
香典をいただいた方への「香典返し」は、葬式の翌日にすぐ行う必要はありません。ただし、四十九日法要の頃にお返しをするのが一般的なため、翌日から準備を始めるとスムーズです。いただいた香典の金額と贈り主を整理し、リスト化しておくことで後の手間を減らせます。
最近では即日返し(当日返し)を選ぶ家庭も増えていますが、その場合でも翌日に不足分がないか確認しておくことが重要です。もし返礼品が不足していた場合は、速やかに追加手配を行いましょう。
また、葬儀に参列できなかった方から弔電や供花をいただいた場合には、翌日以降に電話や礼状で感謝を伝えるのが望ましいです。とくに弔電に対しては短くても構いませんので「このたびはご丁寧なお心遣いを賜りありがとうございました」と返すことで、相手に安心していただけます。
このように、葬儀の翌日は心身の疲れが残る中でも、お世話になった人々へのお礼を形にする大切な時間です。すべてを完璧にこなす必要はありませんが、要点を押さえて誠意を伝えることで、周囲との関係を円滑に保つことができます。
火葬後から翌日以降の流れを整理しておこう
葬儀と火葬が終わると、一区切りがついたように感じるかもしれません。しかし、実際には翌日以降もさまざまな儀式や手続きが続きます。
どのような流れで進むのかを整理しておくことで、余裕をもって対応でき、心身への負担も軽減されます。ここでは、初七日法要や役所関係の手続き、そして法要や納骨の予定確認について解説します。
初七日までに済ませる準備
仏教では、亡くなってから七日目に「初七日法要(しょなのかほうよう)」を営む習慣があります。最近では、親族が再度集まる負担を減らすため、葬儀と同日に「繰り上げ初七日」として行うことが一般的になっています。
ただし地域や宗派によっては、火葬後に翌日以降で初七日を営む場合もあります。そのため、僧侶や葬儀社と日程を確認し、準備が必要であれば供物や会食の手配をしておきましょう。
また、自宅に「後飾り(あとかざり)」の祭壇を設置することも大切です。骨壷や白木位牌を安置し、花や供物を添えることで故人を偲ぶ空間が整います。葬儀社が設置してくれることもありますが、家族で整える場合は翌日以降に準備を進めましょう。
役所への手続きや事務的な対応
葬儀が終わった後には、役所や各機関での事務的な手続きが発生します。例えば、健康保険証や介護保険証の返却、年金受給の停止手続き、世帯主変更の届出などです。
これらはすぐに行わなくても期限が設けられており、通常は14日以内や1か月以内とされています。ただし、複数の書類や証明書が必要になることもあるため、余裕を持って準備することが重要です。
さらに、銀行口座やクレジットカードの解約、公共料金の名義変更なども進めていく必要があります。これらは法的な手続きに直結するため、翌日から少しずつ計画を立てて進めると後の混乱を防げます。特に相続関連の準備は時間がかかるため、早めに親族で話し合いを始めることが望ましいです。
法要や納骨の予定確認
葬儀後の大きな行事として、四十九日法要と納骨が挙げられます。四十九日法要は、故人が成仏するとされる重要な節目の日で、親族や親しい人が再び集まります。
この日までに納骨を行うのが一般的な流れです。火葬後の翌日から準備を始めておけば、会場予約や僧侶への依頼、返礼品の手配などを余裕を持って進められます。
納骨については、菩提寺に墓地がある場合は住職と日程を相談し、霊園や納骨堂を利用する場合は管理事務所に問い合わせて手続きを進めます。特に都市部では予約が混み合うことが多いため、早めに確認しておくことが大切です。
また、親族間で意見が分かれることもあるため、火葬後の翌日以降に集まって話し合いの時間を設けておくと安心です。納骨のタイミングや法要の形式について合意を得ておけば、後のトラブルを避けることができます。
このように、火葬後から翌日以降にはさまざまな対応が求められます。すべてを一度に進める必要はありませんが、優先順位をつけて整理しておくことで、心穏やかに故人を偲ぶ時間を確保できます。
葬式の次の日を落ち着いて過ごすためのポイント
葬式を終えた翌日は、心身の疲れが大きく表れる時期です。通夜や葬儀では多くの人と接し、さまざまな対応を行ったことで緊張が続いていたため、体調を崩す人も少なくありません。
翌日をどう過ごすかは、その後の生活リズムや心の整理にもつながります。ここでは、葬式の次の日を落ち着いて過ごすために意識しておきたいポイントを紹介します。
体調を整えるための休息
まず大切なのは、しっかりと休息を取ることです。葬儀の準備から火葬まで、数日間にわたって緊張と睡眠不足が続くため、体力的にも精神的にも疲労が溜まります。
翌日はできるだけ予定を入れず、横になって休む時間を確保しましょう。無理に外出したり仕事を再開したりするよりも、体調を整えることが優先です。
休息といっても、一日中寝て過ごす必要はありません。軽い散歩や深呼吸を取り入れることで気分転換になり、心の負担も和らぎます。自宅で温かい飲み物を口にしたり、消化の良い食事を心がけたりすることも、体力回復に役立ちます。
親族との情報共有や今後の段取り確認
翌日は、親族と落ち着いて今後の流れを確認する時間にも適しています。葬儀の場では慌ただしく、十分な話し合いができないことも多いため、翌日にあらためて情報を整理すると安心です。たとえば以下のような確認事項があります。
- 四十九日法要や納骨の日程:僧侶や霊園との調整を早めに進めるため、候補日を話し合っておきます。
- 香典返しの準備:いただいた香典の整理や返礼品の手配について分担を決めると効率的です。
- 役所や金融機関の手続き:誰がどの手続きを担当するかを確認しておくことで、後日の混乱を防げます。
こうした段取りを共有することで、家族全員が安心して行動でき、余計な不安を減らすことにつながります。
また、精神的に落ち着くためには、親族同士で思い出話をしたり、故人を偲ぶ時間を持つことも大切です。悲しみを抱えたまま一人で過ごすより、気持ちを分かち合うことで心が軽くなります。
葬式の次の日は、ただ休むだけではなく、心と体を整え、今後の生活を見据える大切な準備期間です。無理のない範囲で休息と確認を行うことで、気持ちにゆとりを持ちながら故人を偲ぶ時間を過ごすことができます。
まとめ
葬式の次の日は、心身を休めながら必要な対応を進める大切な時間です。火葬後の後飾りや初七日法要の準備、参列者や近所へのお礼など、やるべきことは残っていますが、無理に一度でこなす必要はありません。
忌引き休暇を利用して休むのは非常識ではなく、簡潔に理由を伝えれば職場や学校も理解してくれます。さらに、香典返しや法要・納骨の予定を親族と共有しておくと安心です。休息と段取りを両立させ、故人を偲ぶ気持ちを大切に過ごしましょう。