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葬儀費用を補助金で軽減!健康保険・自治体の制度と申請方法を解説

葬儀費用を補助金で軽減!健康保険・自治体の制度と申請方法を解説
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葬儀は突然訪れるものですが、その費用は平均で100万円前後と大きな負担になることがあります。「葬式代をどうまかなえばいいのか」と不安を抱える方も多いでしょう。

実は、健康保険の「葬祭費」や社会保険の「埋葬料」、自治体の助成金などを活用することで、葬儀費用の一部を補助してもらえる制度が整っています。ただし、これらの補助金は申請しなければ受け取れず、期限を過ぎると無効になってしまいます。

本記事では、制度の内容や支給額の目安、申請方法までわかりやすく解説し、初めての葬儀でも安心して備えられる知識をお伝えします。

葬儀費用は補助金で軽減できる?まず押さえておきたいポイント

葬儀を行う際、平均で100万円前後の費用がかかるといわれています。突然の支出に不安を感じる方も多いですが、実は国や自治体からの公的補助金や給付制度を利用することで、葬儀費用の一部を軽減できる可能性があります。ここでは、まず知っておきたい基本的なポイントを整理します。

国や自治体からの公的補助制度がある

日本では、加入している健康保険や居住する自治体を通じて、葬儀費用に関する補助金が支給される仕組みがあります。代表的なものが、国民健康保険からの「葬祭費」、社会保険からの「埋葬料」です。

これは被保険者が亡くなったときに、遺族や葬儀を主宰した人に対して支給される給付金で、地域や制度によって金額は異なります。例えば、ある市区町村では3万円程度、別の自治体では7万円支給されるなど差があります。

また、生活保護を受給している場合は「葬祭扶助」という制度があり、最低限の葬儀を行うための費用が自治体から支給されます。このように、公的な補助制度を把握しておくことで、急な葬儀に備えることが可能です。

対象者や条件を満たせば葬儀代の一部が支給される

補助金が支給されるのは誰でも利用できるわけではなく、対象となる条件があります。たとえば「葬祭費」の場合、故人が国民健康保険の被保険者であったこと、またはその扶養家族であったことが必要です。

埋葬料は社会保険の被保険者や扶養家族に対して支給されます。さらに、実際に葬儀を行った人(喪主など)が申請者となるのが一般的です。

実例として、東京都に住むAさんのケースでは、国民健康保険から葬祭費として7万円が支給され、葬儀社への支払い総額90万円の一部を補うことができました。このように、条件を確認した上で申請すれば、葬儀費用の負担を軽減する効果があります。

申請期限があるため早めの手続きが大切

補助金や給付金には必ず申請期限があります。多くの自治体では「死亡日から2年以内」と定められていますが、自治体によっては1年以内とされる場合もあります。期限を過ぎてしまうと、原則として申請が認められません。

申請には「死亡診断書のコピー」「会葬礼状や葬儀の領収書」「故人と申請者の関係を証明する書類(戸籍謄本など)」が必要となります。

これらは葬儀直後に揃えるのが最も効率的です。葬儀後は気持ちの整理や各種手続きで慌ただしくなりますが、補助金の申請も重要な手続きのひとつであることを忘れないようにしましょう。

もし不安があれば、葬儀社や役所の担当窓口に相談すれば、必要な書類や流れを案内してもらえます。特に初めて葬儀を執り行う方は、専門家や窓口に確認しながら進めることで、支給漏れを防ぐことができます。

健康保険から支給される「葬祭費」「埋葬料」とは

葬儀費用を補う代表的な補助制度が、健康保険から支給される「葬祭費」や「埋葬料」です。これは、故人が加入していた保険制度に応じて支給されるもので、国民健康保険と社会保険で名称や内容が異なります。

いずれも遺族の経済的負担を軽減するための制度であり、申請することで葬儀費用の一部をまかなうことが可能です。

国民健康保険の「葬祭費」の支給内容と相場

国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合、葬儀を行った人(喪主など)に対して「葬祭費」が支給されます。支給額は自治体ごとに異なりますが、一般的には3万円〜7万円程度が目安です。

例えば、東京都23区の多くでは7万円が支給される一方で、地方の一部自治体では3万円前後と差があります。

葬祭費は葬儀の形式にかかわらず申請でき、家族葬や直葬(火葬のみの葬儀)でも対象となります。つまり、規模の大小にかかわらず支給されるため、誰にとっても利用しやすい補助制度といえます。

社会保険(協会けんぽ・健康保険組合)の「埋葬料」

故人が社会保険(協会けんぽや会社の健康保険組合)に加入していた場合は「埋葬料」が支給されます。金額は一律5万円で、葬儀を執り行った人に支給されます。

また、故人が扶養家族だった場合は「埋葬料」ではなく「埋葬費」と呼ばれ、実際に葬儀を行った人に必要経費が支給されますが、金額は上限5万円となります。

会社員であるBさんの例では、父親の葬儀を行った際に協会けんぽから5万円の埋葬料を受け取ることができ、葬儀社への支払い総額80万円のうち一部をまかなうことができました。このように、社会保険に加入している場合も確実に申請することで、負担を減らせます。

家族の扶養に入っている場合の取り扱い

故人が家族の扶養に入っていた場合も補助の対象となります。例えば、会社員の夫の扶養に入っていた妻が亡くなったケースでは、夫の加入する健康保険から「埋葬費」が支給されます。支給額は実際にかかった費用に応じて決まりますが、上限は5万円です。

扶養家族であっても支給対象となることは見落とされやすいポイントです。実際、Cさんは母親を夫の扶養に入れていたため、母親が亡くなった際に申請を行い、上限5万円の補助を受けることができました。

このように、扶養家族かどうかも確認しておくと、申請できる給付金を逃さずに済みます。

「葬祭費」や「埋葬料」は、いずれも大きな金額ではありませんが、突然の出費に対して確実に役立ちます。特に葬儀費用は数十万円から百万円単位でかかるため、これらの補助制度を利用することで経済的な負担を少しでも軽減することができるでしょう。

自治体による葬儀費用の補助・助成金制度

葬儀費用を軽減する方法として、健康保険からの給付に加えて、居住する市区町村が独自に設けている補助金や助成制度を利用できる場合があります。制度の内容や金額は地域によって差が大きいため、事前に確認しておくことが大切です。

市区町村独自の葬祭費用補助の仕組み

国民健康保険や社会保険による「葬祭費」「埋葬料」とは別に、自治体が独自で設定している補助金制度があります。

例えば、東京都の一部自治体では国民健康保険の葬祭費とは別に「見舞金」や「葬祭補助金」が用意されており、遺族に追加で数万円が支給されることがあります。

また、災害や事故によって亡くなった場合には、通常の補助に加えて特別な助成が行われるケースもあります。このように自治体ごとに制度が異なるため、故人が住んでいた市区町村役場へ早めに問い合わせることが重要です。

生活保護を受給している場合の葬祭扶助

生活保護を受けている世帯が葬儀を行う場合は、「葬祭扶助」という制度を利用できます。これは葬儀に必要な最低限の費用を自治体が負担する仕組みです。

支給される範囲は火葬費用、遺体の搬送、骨壷代、祭壇の簡易な設営など、基本的な葬儀に必要な内容に限られます。

金額は地域や物価によって差がありますが、一般的には15万円〜20万円程度が目安です。実際にDさんのケースでは、生活保護受給中の父親が亡くなった際に葬祭扶助を利用し、火葬と骨壷代など必要最小限の費用が全額支給されました。その結果、遺族は自己負担をすることなく葬儀を行うことができました。

地域によって異なる金額や条件の違い

自治体による補助制度は地域差が大きいため、注意が必要です。同じ都道府県内でも、市区町村によって支給額や条件が異なることがあります。

例えば、ある市では葬祭費が3万円に設定されているのに対し、隣接する市では5万円が支給されるなどの違いがあります。

さらに、申請期限や必要書類も地域ごとに異なります。一般的には死亡から2年以内が多いですが、一部の自治体では1年以内と短く設定されているケースもあります。そのため、葬儀後はできるだけ早く役所の窓口に相談することが望ましいでしょう。

自治体による補助・助成金制度は、地域の財政状況や独自の取り組みに左右されるため「同じ制度が全国一律で存在する」とは限りません。必ず故人の住民票があった自治体のホームページや役所に確認し、申請のタイミングを逃さないようにしましょう。

その他で活用できる葬儀関連の補助や給付金

葬儀費用の補助は健康保険や自治体の制度だけではありません。勤め先や加入している保険、労災制度などからも給付金を受け取れる場合があります。思いがけず利用できるケースもあるため、葬儀後の手続きの一環として確認しておくと安心です。

労災保険による埋葬料・葬祭料

勤務中や通勤途中に亡くなった場合は、労災保険から「埋葬料」または「葬祭料」が支給されます。支給対象は遺族または葬儀を行った人で、金額は31万5,000円に加えて、給与日額の30日分が支給される仕組みです。

これは通常の健康保険の「埋葬料」よりも高額で、労災で亡くなった場合には大きな助けとなります。

実際に、Eさんは父親が勤務中の事故で亡くなった際、労災保険から葬祭料を受給し、葬儀社への支払い総額120万円のうち半分以上を補うことができました。労災に該当するかどうかは判断が難しいケースもあるため、労働基準監督署へ早めに相談すると良いでしょう。

共済組合からの弔慰金・葬祭給付金

公務員や教職員が加入している共済組合では、独自に「弔慰金」や「葬祭給付金」が支給されます。支給額は所属する組合によって異なりますが、数万円から十数万円程度が一般的です。例えば、国家公務員共済組合では「葬祭料」として7万円が支給される制度があります。

また、退職者であっても共済年金受給者であれば支給対象となる場合があります。Fさんの例では、退職した父親が共済年金を受給中に亡くなり、遺族が共済組合に申請したところ、10万円の葬祭給付金を受け取ることができました。

勤務先からの弔慰金や互助会による補助

会社員や団体職員として勤務していた場合、勤務先から「弔慰金」が支給されることがあります。金額は会社の規定によりますが、一般的には数万円から数十万円程度です。特に大企業や労働組合がある職場では制度が整っているケースが多く、遺族にとって大きな支えになります。

さらに、事前に互助会に加入している場合は、積み立てた会費を利用して葬儀費用を補助する仕組みがあります。互助会を利用すると、通常価格より割安で葬儀を行えるほか、供花や会場使用料の割引が適用されることもあります。

ただし、途中解約の際には返金額が少ないといった注意点もあるため、加入内容を事前に確認しておくことが重要です。

このように、健康保険や自治体の補助に加えて、労災保険・共済組合・勤務先・互助会といった多様な制度を組み合わせることで、葬儀費用の負担を大きく減らせる可能性があります。

故人がどの制度に加入していたかを整理し、必要に応じて複数の給付金を併用して申請することが、遺族の安心につながります。

葬儀費用の補助金を受け取るための手続きと流れ

葬儀費用の補助金を受け取るための手続きと流れ

補助金や給付金は申請をしなければ受け取ることができません。必要な書類や手続きの流れを理解しておくことで、申請漏れを防ぎ、スムーズに受給できます。ここでは一般的な申請の流れを解説します。

申請に必要な書類と準備物

まず、申請に必要な書類を揃えることが第一歩です。代表的な書類としては以下のものがあります。

  • 故人の死亡診断書または死体検案書のコピー
  • 葬儀を行ったことを証明する領収書や会葬礼状
  • 申請者(喪主)の本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
  • 故人と申請者の関係を証明する戸籍謄本や住民票
  • 振込先の銀行口座情報

制度によっては追加の書類が必要になる場合もあります。例えば、生活保護の葬祭扶助を申請する場合は、扶養義務者の状況を確認する書類が求められることがあります。申請前に必ず役所や保険者に確認しましょう。

申請窓口と問い合わせ先

補助金の申請先は、どの制度を利用するかによって異なります。国民健康保険の葬祭費は市区町村の国保担当課、社会保険の埋葬料は勤務先を通じて協会けんぽや健康保険組合、労災保険は労働基準監督署が窓口となります。

また、共済組合や勤務先からの弔慰金については、組合事務局や会社の人事課に問い合わせる必要があります。複数の制度を併用できる場合もあるため、迷ったときは各窓口に相談し、申請可能かどうかを確認することが大切です。

支給までの期間と注意点

申請から給付金が振り込まれるまでの期間は、制度によって異なります。一般的には1か月から2か月程度ですが、書類の不備があるとさらに時間がかかる場合があります。早めに必要書類を揃えて提出することが重要です。

注意すべきなのは、申請には期限があるという点です。多くの場合、死亡日から2年以内とされていますが、自治体によっては1年以内のところもあります。

期限を過ぎると申請できなくなるため、葬儀後は落ち着いたらすぐに確認と準備を進めましょう。

実際にGさんのケースでは、母親の葬儀後に国民健康保険の葬祭費を申請しましたが、提出書類の不足で差し戻しとなり、受給までに3か月以上かかりました。必要な書類を事前に確認しておけば、こうした遅延を防げます。

葬儀費用の補助金を受け取るためには、制度ごとに異なるルールや必要書類を正しく理解し、期限を守って申請することが大切です。困ったときは、葬儀社や役所の窓口に相談することでスムーズに手続きを進められるでしょう。

補助金でまかないきれない葬儀費用の工夫

健康保険や自治体、労災などの補助制度を活用しても、実際の葬儀費用をすべてまかなえるわけではありません。葬儀代は平均で100万円前後かかるとされ、補助金だけでは不足するのが現実です。

ここでは、補助金で足りない分をどのように工夫して負担を減らせるかを紹介します。

家族葬・直葬など葬儀形式で費用を抑える

葬儀費用を抑える最も効果的な方法のひとつは、葬儀の形式を工夫することです。たとえば、親族中心で行う家族葬は、参列者が少ない分、会場費や返礼品、飲食代などの費用を削減できます。

また、通夜を省いて1日で行う一日葬や、火葬のみを行う直葬(火葬式)は、全体の費用を大幅に抑えられる方法として選ばれています。

例えばHさんのケースでは、直葬を選んだことで総額30万円程度に抑えることができ、補助金と合わせて自己負担は10万円ほどに収まりました。このように、形式を工夫することで経済的な負担を軽くすることが可能です。

葬儀社の見積もり比較を活用する

葬儀費用は葬儀社によって異なり、同じ内容でも数十万円の差が出ることがあります。複数の葬儀社から見積もりを取り、比較することで無駄な費用を避けられます。

特にインターネットの一括見積もりサービスを利用すると、短時間で複数社の金額やサービス内容を確認でき便利です。

また、見積もりを依頼する際には、祭壇や花、車両費、会場費などの内訳を明確にしてもらいましょう。Iさんは3社から見積もりを取り、最終的に同じ内容で20万円安くできた例があります。比較する手間を惜しまなければ、大きな節約につながります。

生前準備や葬儀保険を利用する方法

将来の葬儀費用に備えて、生前から準備をしておく方法も有効です。代表的なのが葬儀保険少額短期保険と呼ばれる商品で、月々数千円の掛け金で葬儀費用の一部をまかなえる仕組みです。

高齢になってから加入できる保険もあり、備えとして利用する人が増えています。

また、互助会に加入して積み立てを行っておけば、契約プランに応じて葬儀費用が割引されます。ただし、途中解約では返金額が少ないなどの注意点もあるため、契約内容を確認してから利用しましょう。

補助金だけに頼るのではなく、葬儀の形式を選ぶ工夫や、事前の備えを活用することで、遺族の経済的な負担は大きく軽減できます。補助制度と節約方法を組み合わせ、無理のない範囲で安心できる葬儀を実現しましょう。

まとめ:補助金を上手に活用して葬儀費用の負担を軽減しよう

葬儀には多くの費用がかかり、突然の出費に戸惑うご遺族も少なくありません。しかし、健康保険からの「葬祭費」や「埋葬料」、自治体独自の補助金、労災保険、共済組合、勤務先からの弔慰金など、さまざまな制度を組み合わせて利用することで、葬儀費用の負担を軽減することができます。

まず押さえておきたいのは、補助金や給付金は自動的に支給されるものではなく、必ず申請が必要という点です。

死亡診断書や葬儀費用の領収書、戸籍謄本などを揃え、期限内に窓口へ提出しなければなりません。

特に申請期限は1年から2年と限られているため、葬儀後の慌ただしい時期でも早めに確認して行動することが重要です。

また、補助制度だけでは全額をまかなうのは難しいのが現実です。そのため、家族葬や直葬など規模を抑えた葬儀形式の選択、複数の葬儀社からの見積もり比較、生前の準備や葬儀保険の活用といった工夫を取り入れることで、経済的な負担をより軽くすることができます。

例えば、葬祭費で7万円、勤務先からの弔慰金で10万円を受け取り、さらに家族葬を選んだ結果、総額が大幅に抑えられたという事例もあります。

このように制度と工夫を組み合わせることで、「想像していたよりも費用を抑えられた」と感じるご遺族は少なくありません。

初めての葬儀では、費用の見通しや補助制度の存在を知らずに不安を抱える方が多いですが、正しい知識を持って準備すれば大きな安心につながります。葬儀社や役所の窓口に相談しながら、利用できる制度を確認して申請を進めていきましょう。

補助金を上手に活用しつつ、ご家族の思いを大切にした葬儀を実現すること。それが経済的な安心と心の納得の両立につながるはずです。