「葬式饅頭はどこで手に入るのか」「どのような意味があるのか」――初めて葬儀を行うとき、多くの方が迷うポイントです。地域ごとに風習が異なるため、正しい情報を押さえておかないと準備に困ることも。
本記事では、葬式饅頭の購入先や正式名称、地域ごとの違いを具体例とともにご紹介します。
葬式饅頭はどこで売っている?購入できる場所の基本
葬式の引き出物として用いられる「葬式饅頭」は、地域によって呼び方や形が異なりますが、基本的には葬儀後に参列者へ感謝を込めて配られる菓子です。
葬式饅頭はどこで手に入るのか、初めて葬儀を行う方にとって分かりにくい点も多いものです。ここでは、主な購入先や入手方法を整理してご紹介します。
葬式饅頭を扱う和菓子店や専門店
最も一般的な購入先は、地元の和菓子店や葬儀関連のお菓子を専門に扱う店舗です。地域に根付いた和菓子店では、大きいサイズの饅頭を作ってくれることが多く、注文すれば葬式用の熨斗(のし)や包装に対応してもらえます。
特に昔からの風習が残る地域では「引き出物饅頭」や「薯蕷(じょうよ)饅頭」と呼ばれる白く大きな饅頭を準備することが一般的です。
店によっては注文から受け取りまで数日必要な場合もあるため、早めに相談しておくと安心です。
葬儀社や斎場での注文方法
近年では、葬儀社や斎場を通して葬式饅頭を手配できるケースも増えています。葬儀プランの中に引き出物や返礼品が含まれている場合、葬式饅頭を選べることがあります。
葬儀社を通すメリットは、式場まで直接届けてもらえる点や、地域の習慣に合ったサイズ・個数を提案してもらえる点です。
また、参列者の人数に合わせて発注できるため、余分な在庫を抱えずに済みます。初めての葬儀で手配に不安がある場合は、葬儀社に相談して任せるのが効率的です。
インターネット通販での購入可否
最近では、インターネット通販を利用して葬式饅頭を購入する方法もあります。全国配送に対応している和菓子店のオンラインショップでは、葬式用の大きな饅頭や個包装タイプの詰め合わせを選ぶことができます。
地方の風習に合わせた商品を取り寄せられるのは大きな利点ですが、葬儀の日程に合わせて確実に配送されるかどうかの確認が必要です。特に気温や湿度によって饅頭の品質が左右されるため、冷凍やチルド便を選択できるか、賞味期限はどの程度かといった点も重要なチェックポイントになります。
このように、葬式饅頭の購入先には複数の選択肢があります。地域の慣習や式の規模に応じて、和菓子店・葬儀社・通販のいずれが最適かを検討すると安心です。
葬式饅頭の正式名称と由来
一般的に「葬式饅頭」と呼ばれるお菓子には、正式名称があります。地域や宗派によって異なりますが、多くの場面で「引き出物饅頭」や「薯蕷(じょうよ)饅頭」と呼ばれることが多いです。
薯蕷饅頭とは山芋を使った上品な饅頭で、しっとりとした白い皮が特徴です。葬儀においては白色が清浄や弔意を表すため、この形が用いられてきました。正式名称を知っておくことで、和菓子店などに注文する際もスムーズに話が進みます。
「引き出物饅頭」と呼ばれる理由
「引き出物」とは、もともと宴席や儀式の際に客人へ感謝の気持ちを示して贈る品物を意味します。葬儀でも、参列してくださった方へのお礼として引き出物を渡す習慣があり、その一つとして用いられるのが葬式饅頭です。
そのため「葬式饅頭」という呼び方よりも、正式には「引き出物饅頭」と表現することが多いのです。
大きい饅頭を用いる意味
地域によっては、直径15センチ以上の大きい饅頭を用いる習慣があります。この大きさには、故人を盛大に見送りたいという願いや、参列者と切り分けて分かち合うことで「ご縁をつなぐ」意味が込められています。
また、白い大きな饅頭は清らかさや潔白を象徴し、葬儀にふさわしい形として重宝されてきました。単なる菓子としてではなく、象徴的な意味合いを持つことを理解しておくと、準備の際に選ぶ基準が明確になります。
祝い饅頭との違い
葬儀で用いられる饅頭は、結婚式や出産祝いなどで配られる「祝い饅頭」と区別されます。祝い饅頭は紅白の色合いで「繁栄」や「喜び」を表すのに対し、葬式饅頭は白一色で「哀悼」と「清浄」を表します。
この色の違いが意味合いの違いを端的に示しています。同じ「引き出物饅頭」という名称であっても、慶事と弔事で大きく役割が異なるため、誤って祝い用を手配しないよう注意が必要です。
このように、葬式饅頭には正式名称や歴史的な由来があり、単なる菓子以上の意味が込められています。名前の由来や大きさの意味を理解しておくことは、葬儀の準備を整える上で大切な心構えにつながります。
地域による葬式饅頭の特徴

葬式饅頭は全国で共通して見られる風習ですが、地域によって呼び方や形、大きさ、購入できる店舗に違いがあります。ここでは東京・名古屋・北海道・関西といった主要地域の特徴を整理し、それぞれの文化や慣習を踏まえた上での選び方をご紹介します。
東京で見られる葬式饅頭の形と販売店
東京をはじめとした首都圏では、個包装タイプの小ぶりな饅頭を詰め合わせて渡す形式が一般的です。都市部では参列者が多い傾向にあるため、大きな饅頭を一つ配るよりも、小分けにして配りやすい形が好まれます。
購入先としては老舗の和菓子店や葬儀社と提携した製菓店が多く、斎場へ直接配送してくれるサービスも充実しています。
- 麻布 青野総本舗(港区六本木)では、葬式用の青白や黄白の上用・薯蕷饅頭を取り扱い、のし紙や包装にも対応します。数量や締切の目安を事前に確認して手配します。
- 塩瀬総本家(都内各店・オンライン)では、弔事向けの青白饅頭をラインアップし、箱入れ個数の選択やのし対応が可能です。オンライン注文も活用しやすいです。
名古屋エリアに多い特徴と購入先
名古屋を中心とした中部地方では、大きい饅頭や薯蕷饅頭を丸ごと配る風習が根強く残っています。直径の大きい上用饅頭や、二個組の薯蕷饅頭を会葬御礼に添えるスタイルがよく見られます。地域の事情に詳しい地元店に相談するとスムーズです。
- 山田餅 あらたま(瑞穂区)は、会葬御礼で用いられる薯蕷饅頭二個組の注文相談に応じます。礼状同梱の体裁なども含めて提案を受けやすいです。
- とう吉饅頭(中村区)は、故人を偲ぶ席に用いる上用饅頭を用意します。急な入用にも相談に乗ってもらえるため、日程が詰まっている際も安心です。
北海道での風習と饅頭の種類
北海道では、地域によっては落雁などの砂糖菓子を配る例もありますが、十勝や石狩などでは「中華まんじゅう」と呼ばれる大判の焼き菓子を葬式饅頭として用意する風習が知られています。個包装や日持ちの点でも選びやすいのが特徴です。
- お菓子のまさおか(十勝・芽室町)は、中華まんじゅうの老舗として知られ、店頭はもちろん百貨店催事でも実演販売の実績があります。数量や受取方法を事前に確認して注文します。
- ふじみや製菓(石狩市浜益)は、どら焼きと並ぶ看板商品として中華まんじゅうを製造します。道の駅や地域物産でも扱いがあり、持ち帰りしやすいのが利点です。
関西地方に根付く葬式饅頭文化
関西では、名古屋と同様に黄白の上用饅頭など、存在感のある饅頭を用いる地域が多く見られます。サイズ展開やのし、予約締切が細かく決まっている店舗が多いため、日程から逆算して早めに手配します。
- むか新(大阪・泉州エリア中心)は、法要向けカテゴリで黄白の上用饅頭を通年販売します。二個入から多個入まで選べるため、参列人数に合わせて調整しやすいです。
- 京みずは(京都・長岡京/みずは北川)は、黄白上用饅頭を小・中・大の三サイズで用意します。大サイズは一週間前までの予約や最小ロットの指定があるため、余裕を持って注文します。
このように地域によって葬式饅頭の形や意味合いは異なります。自分の住む地域の慣習を確認しつつ、参列者や親族の人数に応じて最適な形式を選ぶことが大切です。
葬式饅頭を選ぶ際のポイント
葬式饅頭は地域ごとの慣習や宗派の違いに加えて、式の規模や参列者の人数によっても選び方が変わります。
適切な大きさや包装、数量を考慮して準備することで、参列者への感謝の気持ちがきちんと伝わり、後々のトラブルを避けることができます。ここでは葬式饅頭を選ぶ際に押さえておきたい具体的なポイントをご紹介します。
サイズや個数の目安
大きい饅頭を配る地域では、直径15〜20センチほどのものが主流ですが、都市部では食べやすい小ぶりなサイズを複数詰め合わせにすることが多いです。
例えば、東京では一人あたり2〜3個入りの小包装が一般的で、名古屋や関西では大きい饅頭を一軒につき一つ渡す風習が残っています。参列者の人数に合わせて数量を調整し、余らないようにすることが大切です。
のし紙や包装の注意点
葬式饅頭には、必ず弔事用ののし紙や包装が必要です。表書きには「志」や「粗供養」と書くことが一般的で、地域によっては「満中陰志」という表記を用いる場合もあります。
水引は黒白や双銀が使われ、祝い事で用いられる紅白は避けるのが基本です。和菓子店や葬儀社に依頼する際は、弔事用の体裁に対応できるか必ず確認しておきましょう。
地域習慣とのバランスを考える
葬式饅頭の形や大きさは地域によって大きく異なるため、自分の地域の風習を尊重することが第一です。ただし、現代では参列者のライフスタイルを考慮して、日持ちのする個包装タイプを選ぶ家庭も増えています。
例えば、地方在住の親族向けには大きな饅頭を用意し、遠方からの参列者には持ち帰りやすい小包装を渡すといった工夫も可能です。伝統を大切にしつつも、参列者に配慮した形を選ぶことが望ましいといえます。
これらのポイントを意識して準備することで、地域の慣習を守りながらも参列者に喜ばれる葬式饅頭を用意できます。葬儀全体の流れに負担をかけず、安心して当日を迎えるためにも事前の確認と調整を欠かさないことが大切です。
まとめ
葬式饅頭は、葬儀に参列してくださった方へ感謝の気持ちを伝える大切な引き出物です。購入先は地元の和菓子店や専門店、葬儀社や斎場、さらにはインターネット通販といった複数の選択肢があります。それぞれにメリットと注意点があるため、葬儀の規模や日程に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
また、「引き出物饅頭」や「薯蕷饅頭」といった正式名称があり、大きな饅頭を用いる地域や小分けの包装が主流の地域など、地域ごとに異なる習慣が存在します。東京では小包装、名古屋や関西では大きい饅頭、北海道では個包装タイプが多いなど、地域性を理解して準備すると安心です。
さらに、サイズや個数、のし紙や包装、地域習慣とのバランスを意識することで、参列者にとっても受け取りやすく喜ばれる形になります。現代では日持ちや利便性を考えて個包装を選ぶ家庭も増えており、伝統と実用性を上手に両立させる工夫が求められます。
初めて葬儀を行う際は戸惑うことも多いですが、葬式饅頭の意味や購入方法、地域の特徴を理解しておくことで安心して準備できます。参列者への心配りを形にする大切な習慣として、状況に合わせた最適な選び方を心がけましょう。